■ キイジョウロウホトトギス(紀伊上臈杜鵑)は、紀伊半島南部の半日陰の岩場等に自生するユリ科ホトトギス属 の多年草植物です。 
 
 名前の由来は、紀伊半島固有の植物で、上臈(ジョウロウ)は優雅な貴婦人を意味し、杜鵑(ホトトギス)は、 内花 弁の斑点が杜鵑の胸毛に似ていることから付けられたといわれています。草丈は、1m程に垂れ下がり、 花は 10月頃に光沢のある葉の付けねに鈴のような黄色の花が10数輪着生し、気品のある優美な花が古くか ら 茶室等 で生花として利用されてきました。 
  絶滅が危惧される植物記載した環境省の「レッドデーターブック」によると、キイジョウロウホトトギスは絶滅の危機が高まっている植物(絶滅危惧植物U類)に位置付けされています。このため、「バイオセンター中津」では、自生植物を積極的に大量に増殖を行い、自生地への還元や切花・鉢物を生産し、愛好家に供給することにより乱獲防止に繋がり、維持・繁殖できればと思い取り組んでいます。現在、リフレッシュエリアみやまの里森林公園内藤棚ロード法面(公園遊歩道山林中〜下腹)へキイジョウロウホトトギスのポット苗の植栽を行っています。一部の株は50〜70pとなり、10月初旬になると歩道の途中にチラホラと黄色い花が見れるまで成長してきています。






■ 栽培管理
 

○定植(12〜2月):2〜3年生苗をプランター等に株間20〜25cmで定植する。茎が垂れ下がるので1m以上 の高設栽培とする。(プランター等を台の上へ設置や木陰の石垣で石と石の間に植栽等)鹿沼土を基本とした腐葉土等を混合した用土を使用する。用土が乾かない程度に灌水する。

○管理(3〜6月初旬):表土が乾かない程度にたっぷり潅水し、3月中下旬頃に緩行性肥料(IBS1、3粒/株等)または3〜5月まで1週間に1〜2回液体肥料を施用。発芽後ナメクジに注意する。5月頃より遮光を50%程度とする。
高濃度の肥料や肥料の与えすぎ、施肥後の水不足は葉先が傷む原因(肥料やけによる褐変)となり生育が極端に悪化します。
(6月〜9月):梅雨入り前から直射日光を避け70〜80%遮光を保つ。乾燥・強光による葉焼けには特に注意をする。表土が乾かない程度(朝夕)にたっぷり潅水。成長が止まる頃より施肥を控える。

○開花・収穫(10月上旬頃):、茎の先端の蕾が黄色の状態で収穫し、水揚げを確実に行う。スズメガ等によって受粉が促されるため室内の場合採種量が少なくなる。

○収穫後の管理 : 遮光率を50%程度にさげる。日中気温が下がってきたら遮光ネットをはずしてもよい。

○種子繁殖・採種: 
切り残した花から12月初旬頃刮ハ黄〜茶色なった時、刮ハが開いて種が落ちるまでに採種。鹿沼土小粒へばら蒔きし覆土を行わない。播種後灌水はこまめに行う。3月の発芽以降薄い液体肥料を与える。

○株分け(3年目以降):
株が増え過繁茂になれば、葉がない冬期中に株分けをする。