木彫
「 阿修羅像
」
軍国少年時代に母に逆らい親不孝したことを想い、反省しながら彫ってみました。
素材は庭に育ち30余年同じ時を過ごした『銀杏』の樹です。
写真を参考にして彫りましたので分からない部分もありましたが、何とか形にしてみました。
昭和14年、父が亡くなり帰国して九州の田舎で暮らすことになりましたが、戦争前で
すべてのものが軍国調であり、ヨーロッパの暮らしとはずいぶん異なるものでした。
自分は何とか馴染み、他の少年たちと同じような生活をと思いがんばりました。
しかし、言葉も分からず、学力も無いまま小学校の3年生に編入することになりました。
体は小さいし、他の者達より色白く、弱かったので男として恥ずかしかったです。
母も暮らしが全く異なり、男の子3人を育てるのには本当に苦労したことだと思います。
その母に他の者と異なる格好をするなとか厳しく言っていたように思います。
服装も洋服でなく着物をとか、パーマネントは切りなさいとか、靴を履かずに下駄を履け とかずいぶん無理を押しつけていたように想い出します。
母は強く怒ったり叱ったりしませんでしたが、戦時体制の中では仕方が無いと考えていた のかもしれません。
阿修羅は、本来闘争の神で荒々しい姿だと思いますが、釈迦の教えを聞いて自らの罪を懺 悔する姿とも言われています。
神妙に教えを聞く哀愁を帯びた美少年の姿です。