森の母なる 「 ぶ な 」




 3 「 ぶ な 」


            「 ぶ な の 実 」
       大台ケ原 日出ヶ岳にて   2000.10.6. 















         
 10月に大台ケ原日出ヶ岳で「ぶなの実」を見てきました.
樹木の中には、特に好きで愛している樹がいくつかありますが、ここでは「ぶな」をとり上げてみたいと思います。
  ドイツなどでは、Oak(樫等)を「森の父」と言い、Beech(ブナ)は「森の母」と呼んでいるようですが、人とのかかわりの強い樹木だと思います。
  美しい樹形、季節による彩りの変化は私たちを楽しませてくれます。 また、分厚い落葉の重なりは栄養を形成し、大きな保水力を持っています。  この落葉は1年ぐらい経過しても葉の形が残っていますが、他の広葉樹と比べて分解が遅いのは「セルローズ」、「リグニン」が多量に含まれているからだと言われています。               
 したがって厚い腐植層はスポンジのように水を貯えやがて海の生態系へ連なっていくことになります。 食物連鎖条件の重要な要因となります。 海を愛する人たちが、豊かな海を願って山の森林を大切にすることは,極めて理にかなっている事です。
 また 太陽光をよく透過している「ぶなの緑」も美しく、心が洗われます。 この緑光は、明るい森林をつくり下層にある動植物のエネルギー源となっています。  「ぶな」は数年に1回程しかたくさんの実をつけることはないといわれていますが、今年(2000)はみごとでした。  この間隔は、何か自然の理に従うものではないかと調べてみましたがある研究者の説では種族i維持と関係があるそうです
硬いイガに包まれた実は蕎麦の形に似ていますが、2個ずつ入っています。 この小さな実は山の動物たちの美味しい食糧となっています。   「ツキノワグマ」も好むと聞きましたが、食べてみるとその味にうなずけますね。
 ・BOOKの語源は、BEECH(ブナ)だそうです。
 ・グーテンベルグは、文字を彫刻した木をつ包んであった紙に残っていた文字の跡からヒントを得て印刷機を考案したといわれています。
 昔は、「ぶな」が経済性の低い樹木として扱われ森林の中でも存在価値が低いものでしたが最近高く評価されるようになってきました。  山の生態系やわれわれの生活環境から考えて「ぶな」は極めて重要です.
 近くでは見られませんが,大台ケ原などの高いところか少し寒い土地へ行けば見れますね。
 白神山地の原生林はまだ見たことがありませんが,ぜひ行きたいところの一つです.      2000.11.