『 ブリのえらと消化管 』
胃にイワシを飲み込んでいる。 1尾の鰯で胃は満たされていた。
胃の中にあったイワシはまだ消化されずに残っていた。
定置網で漁獲されて数時間後の状態
市販されているものはほとんど消化されて姿、形はなかった。
血液が表面近くを流れているので赤味を帯びている。
しかし、水で洗っていると簡単に血液が流れ出して赤味が薄くなっていくのが観察できる。
ブリの呼吸は海水に含まれている酸素を吸収し、二酸化炭素を排出するが、このような形のエラであれば呼吸のたびにたくさんの海水とふれあうことができる。
小学校6年生で「人の体のつくりとはたらき」という内容が扱われているが、直接内部にふれたり観察することはできないので学習指導には大変苦労されている。
そこで理科の目標、科学的な考え方を少しでも身につけさせるために補助教材として考えてみた。
科学的にものごとを考えることは理科教育の基本であるが、「合理性」「客観性」「実証性」が重要である。
できればいろいろな動物たちの消化、呼吸などを理解した上で帰納的に人体の学習へ進めたいものである。
しかし、現実の学習指導要領は、理科の目標に科学性を掲げているにもかかわらずこの内容構成では極めて軽視している。
そこで身近に生活の中で接している魚を観察の素材に使ってみた。
幸いに過日地元の定置網で漁獲されたブリを頂いたので早速解剖して写真に保存し乾燥標本を作製した。
できれば乾燥せず標本瓶に保存する方がよいのであるが、身近にはなく残念。
乾燥したものはかなり縮小しているが、実際に観察できるので参考資料とした。
・ エラの形から他の動物の呼吸器官、人の肺まで考えを進めたい。 水や空気にふれあう面積
・ 消化のしくみのなかで「ブリ」の場合は、胃が極端に大きく、腸が細いのでたぶん胃で殆ど消化がすすめ
られているのではないだろうか。
・ 魚は内臓に「幽門垂」をもっているものが多いが、ブリの場合もかなり大きいのでここから消化液を分泌
して殆ど胃で消化が進められているようである。 腸内では殆ど液状になっている。
※上部写真の標本は、3日間ホルマリン漬けした後乾燥、その後クリアラッカー塗装している。