「 Ecologycal Wall 」 の 構想     
 
 水の気化熱を利用して夏の外気温、室温を和らげる装置である。
市街地などでは、ビルや車のエアコンから放出される熱によってヒートアイランド現象が起こったり、最近では地球環境の温暖化が問題になっている。
 ずいぶん昔になるが、家屋の壁面や屋上などに保湿性をもたせて気化熱利用の低温化を図る論文(省エネの構想)を発表したことがあるが、今回は地下に貯蔵水槽などを付加して改善を試みた。
 以前には小規模の装置を使ってその効果などデータとして記録したが今回は規模が大きくなるので構想のみとした。
植物はどのような炎天下でも自分の体温を過熱状態にすることはない。  これは地下からの吸水、葉による蒸散作用によるものだがこれを人工的に利用しようと考えたものである。
 したがって、壁面や屋上に限らず、人工的に構築する建造物、人工樹木などにも応用できるものである。
その場にあった形状で構築できるし、二酸化炭素が水に溶ける性質があることや酸性霧が吸着されること、なども考えられるのではないだろうか。
また、空気中の窒素化合物などの吸着も考えられないのだろうか。
     (20℃で水体積1に溶ける二酸化炭素は、0.878である。 岩波理化学辞典引用)  
1 気化熱の活用について

 植物の蒸散作用を応用したものであり、地下から吸水された水を保湿性放熱板から気化させて熱を放出する仕組みである。
   (水の100℃における気化熱は、539.032cal/g)

2 地下の恒温性を活用する
 地下の温度は1年中あまり変化しないが、特に夏は外気の温度よりかなり低いので利用を考えた。
 利用する水は地下からくみ上げて利用し、使用後の余分の水は再度地下の水槽で放熱して利用する仕組みとした。
 冬期間中は、地上の放熱板からの気化を中止して循環する水は地中の熱を吸収して地上の放熱板から放熱する仕組みである。

3 給水のしくみ
 太陽光による発電によってポンプを可動し、上部へ揚水する。
 揚水量の調整は、各部分に取り付けた含水量センサーによってコントロールし、常に放熱板が最適の状態になるように仕組む。
 蒸散量に応じて給水するため電力量は極めて節減できる。

4 放熱板や壁面の形態について
 基本的なエコロジカルウオール概略図を上に示したが、樹木型や変形葉にすればさまざまな箇所に設置可能と考えられる。
 放熱板を樹木の枝葉のように取り付けることができる。

5 装置の設置について
 人工物が増えるにしたがって自然の緑が少なくなるのは環境的にも好ましくない。  科学技術によって変化してしまったものについては科学の力で対応していく必要がある。  植物が生育できないような環境では人工的に対応する施設を設置する必要がある。
 気温の問題だけでなく大気中の有害物質についても科学的に対応する手段が必要である。
 このような観点からもエコロジカルウオールの必要性があるのではないだろうか。
 地上の建造物について、植物の体温コントロールの仕組みを応用したいものである。
 ・夏は、植物体、葉から気化熱を有効に活用する蒸散作用の仕組みを応用するものである。
 ・冬は、地中温の恒温性を利用して地中の熱を地上に移動させる仕組みである。
 ・仕組みを可動させるためのエネルギーはすべて太陽のエネルギーを活用する。