電流と磁石の関係を発見した
   「 エルステッドの実験  」


エルステッドの実験
磁針の近くで導線に電流が流れると磁針が動くことを見つけた。
この発見によって電流と磁石の関係の研究が広まり、それを活用した技術が開発されている。 現在使われている電気機器もこの実験成果を基点として作り出されたものが多いのではないだろうか。
動きを大きくし変化を見やすくするために工夫してみた
導線は、板の上にアルミ板(ビールの缶利用)を貼り付けて電流を流す。  DC2Vで十分検証できた。
磁針は、肉厚の鉄板の両端にボタン磁石を付けてバランスをとる。

         
 磁石と電気は、全く別のもので関係はないと思われていたが、深い関連があることを発見したのは「エルステッド」である。
 数千年昔、ギリシャの人々は黒い色をした鉱物が鉄を引きつけるのを観て驚いた。
これをタレスが研究してこの鉱物の産地がマグネシヤだったので「マグネス」と名付けた。
これが英語のマグネット(magnet)になったと言われている。
磁石の石の字もこの鉱石に関係があるのではないだろうか。
磁鉄鉱は「magnetite」
 電気は、電子(エレクトロン)から来ているが
BC600年頃、ギリシャ人は「コハク」を布でこすると羽毛や羊毛が引きつけられることを見つけている。  バルト海沿岸の松の木の樹脂が化石化してできたのが「コハク」だと言われているが、この「コハク」がギリシャ語では「elektron」と言う。  電子Electron
 このように磁石と電流は全く関係がない存在であったが、ボルタの電池が作られてから電流の実験をしているときにこの関係が発見されている。 
 発見したのは「エルステッド」で導線に電流を流すと近くにおいてあった磁針が動くことを見つけている。 実際には1819年弟子が見つけてエルステッドが報告したと言われている。
 1820年「エルステッド」が論文を発表するとヨーロッパを中心に多くの科学者が大いに関心をもち研究が進められた。
 発表されて数ヶ月後には、アンペールが電流と磁石の間だけでなく近くの導線同士の間でも電流と直角方向に力が作用することを見つけ出している。
 電流と磁界の関係は、これらの実験を基盤にしてたくさんの技術的な成果も達成している。
 コイルによる磁化、電磁石、電動機(モーター)、電磁誘導、発電機すべては「エルステッドの実験」を基点にしていると言ってよいのではないだろうか。
 現在私たちが家庭で使っている電気機器、工場の機器、新幹線など交通機関すべての原点がこの実験にあるとも考えられる。

戯言
 しかし、学校教育の課程、教材配列の順次性など観ると少し軽視されるように感じられて残念である。
 科学教育を推進するには、既知の知識や技術を習得するだけではなく、これから創造していくための意欲と力が必要である。
 学習は結果を学ぶだけでなく学習の過程を重視することが何より大切である。 
 実験、観察などでは当然失敗、試行錯誤も考えられるが、知的理解が重視される学力観ではそんなゆとりをとっている時間もなく、学習時間も短縮されているので検証実験中心になってしまうのが現状ではないだろうか?