海馬「 ハナタツ 」  Hippocmpus mohnikei Bleeker


                                              
小型で全長9cm位。 吻も短いが色彩は鮮やかで派手な形をしている 
  魚とは似つかない形だが古代中国の伝説にある龍(タツ)に似ているのでその落とし子ということで名付けられたのではないだろうか?
タツノオトシゴは「海馬」とも書かれるが「カイバ」と読めば「セイウチ」になるので「ウミウマ」と読む。
外国では頭部が馬の形に似ているから英語では「Sea horse 」 ドイツ語では「Seepferdchen」と言われている。
その他「水馬」「ウマウオ」「ウマノカオ」「リュウグウノコマ」「タツノコ」「タツノカオ」「リュウノコマ」等とも言われている。
貝原益軒「大和本草」では「海中に生じる小虫なり、頭は馬の如く、腰はエビの如く、尾はトカゲに似るなり」と記されている。
龍と蛇とは起源が違うらしい。
安田喜憲氏によると森の周辺で生活した縄文人は「重要な食料となった猪や鹿、魚類を原型としてそれらを融合した架空の動物を創造したものである」と説明されている。  やはり発想の原点が魚と関わっていたらしい。
中国では7千年ぐらい前には龍によく似た動物の存在があったのではないかとも記されている。
坂本龍馬の名前も、母が龍の夢を見て名付けられたと言われている。
龍馬は、「瑞応図」「太平広記」には、大きさ形なども記されているようだ。
ヨウジウオ科の魚であるが、背びれ、胸びれ、尻びれをもち長い尾で海藻などに巻き付いたりしている。
背びれを使って立ち泳ぎのようにゆっくりと泳ぐが、餌をとるときは口からスポイドのように吸い込む。
産卵するのは朝方らしいが、雌は雄の育児嚢に体を押しつけ小刻みに動かしながら輸卵管を通して卵を落とし込むようだ。この動作は2時間ぐらい続くこともあるらしい。
雌が生み付けた卵は孵化するまでこの育児嚢で育てられる。
このようにしてたくさんの稚魚を大切に育てるので「タツノオトシゴ」は安産のお守りとして使われることが多い。
乾燥しても形が変わりにくいので乾燥した雄雌を袋に入れたりしてお守りにする。
写真の「ハナタツ」は、ずいぶん昔、アクリル樹脂に標本として封じ込んだもので少し変色している。
生体は、もう少し赤みがかった色である。
なかなか手にはいらないが、できれば飼育してみたいタツノオトシゴである。