『 いて座 』  

 

  夏の夜空は明るい星たちが多いので素敵です。
 特に夏の大三角はすぐに目にとまりますが、そこから銀河を流れ下っていくとひときわ濃さを増してくるあたりに「いて座」があります。    大弓に矢をつがえてサソリを狙う半人半馬の怪人ケイローンです。
この星座で目立っているのが南斗六星です。   北斗七星に似ていますね。
 中国では北斗の星が死を司り、南斗の星は生を司る神と言われています。 人間が生まれるときには二人の神が相談して寿命を決めると言われています。  
 南斗六星は、銀河が濃くなっているミルクのような部分をスプーンですくい上げているようにも見えます。
「いて座」あたりの銀河が一段と濃く見えるのは銀河の中心があるためで、矢の先あたりの方へ約三万光年の彼方に中心があると言われています。
 我々は銀河の中心から約3万光年離れたところで回っています。
秒速250kmのスピードで約2億年かけて1周していることになります。
人間が地球上に誕生してから銀河の渦を少しだけ回っていますが、1周するにはまだまだです。

 宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」では、最初の停車場が「白鳥の停車場」で「はくちょう座」を「凍った北極の雲」でできた十字架(はくちょう座は北十字と言われている)と表現しています。
 「アルビレオ」の観測所を通りますが、青と黄の球が回っている観測所は銀河の流れの速さを測ってるのでしょう。「わし座」を通り「いて座」近くを通って目的の南十字に向かっています。

 紀北町の星空は美しいです。 銀河も素敵に見えます。  

   夏の星 里山に来て賑わいぬ    2004.8.   朝日俳壇に掲載