寿老人の星 「 カノープス」  

     
    
  漁り火が呼応するかのように気ぜわしく、往来していますが、その上に弧を描きながら西進して行くのが「カノープス」。         
    露出 60分

 真冬の夜中に真南の水平線近くを見るとこの星が見えてきます。
昔「アルゴ座」(現在は「とも座」「りゅうこつ座」「ほ座」の三つに分けられている)と言われた大船にある主星ですが、「シリウス」に次ぎ第2位に輝く光を放っています。
日本では南に行くほど見やすくなりますが、三重県でもよく見ることができます。
この写真は 熊野市の海岸で撮ったものですが、紀伊長島町の荷坂峠からもよく見ることができます。
中国では、カノープスを古くから、南極老人、または老人星と呼んで洛陽や長安ではこの星が見える年は天下太平であるといって祝ったそうです。
南極老人星伝説
昔、宋の時代の都に奇妙な老人が現れて、酒屋で大酒を飲み、いくら飲んでも酔うことがないので仁宗皇帝が宮殿で酒一石を与えたところ7斗をかるがる飲んで何処とも無く立ち去ったそうです。
次の日天文の役人が昨夜まで見えていた老人星を見たところ消えて無くなっていました。
そのことを皇帝に告げたところ「それはめでたい、めでたい」あの老人がそれであったかと喜ばれたそうです。
日本でも平安朝時代には老人星祭を催しこの星が見える年は天下泰平であると祝ったそうです。
七福神の中の寿老人はこのときの老人星の姿を映したと言われています。
この星を見ると長生きできるとも聞いたことがあります。

光度はマイナス0.72等 距離は250光年 質量は太陽の10倍、光は4万5千倍。
水平線近くでは大気の影響も受けて赤みがかり酒に酔っているように見えます。