「 カツオ 」  Katsuwonus pelamis(linne)  サバ科
                                              
 

        目には青葉 山時鳥初鰹 素堂

    むさぼりて腹な破りそ大ぎりの
        これのカツオをうましうましと
    あなかしこ胡瓜もみにも入れてある
        これのカツオをのこさるべしや   牧水
(勝浦にて)
  
 季節の到来を感じる魚である。
旬の美味しさも格別だが、姿もすてきだ。
回遊魚として理想的な魚形といえるのではないだろうか。  ネクトンの代表的な形だろう。
船の形、特に潜水艦には魚形が参考にされているが、到底魚には及ばない。
渦や泡を立てずにエネルギーを極めて有効に使っている。
ジェット機や新幹線の形態にもにているかな?  
筋肉による体表面の細やかな動きも抵抗を減らすのに役立っているようだ。
また、何千kmも回遊するエネルギーは血合肉が関係しているようだ。 血合肉が多い ミオグロビン

最も美味なのは節にするときに切り取った残りの三角形の部分「腹皮」と言われている。
その他、刺身や焼いてショウガ醤油で食べたり干物も美味。  たたきもいいね
うまみはイノシン酸によるものだろう。
鰹節もいいね。   伝統的な保存食といえるのではないだろうか。
臓器からは塩辛を作ったりランゲルハンス島からインシュリンが製造される。 
血合筋も多く分布している。

鰹漁の様子も想像できる。
水平線近くで海鳥の群れが乱舞しているようだ。
双眼鏡で数千メートル先を眺めていた船頭から声がかかる。
面舵側に大群(なぐら)だ!   船は面舵いっぱい! 船員(かこ)たちは竿台へ走り釣り竿を準備する。  
船頭の判断で魚群に船を近づける。
船影を消すために両舷の散水機から海水噴射が始まる。
船が鰹の群れの上に来ると表と艫からイワシが海面にばらまかれる。カツオの群れが光り輝く。 
 やがて擬餌針を使ってかけ声勇ましく釣りにかかる。
若い船員たちは、おか(陸)で訓練されたように太い竿を使い鰹を釣り上げる。
船にカツオが飛び込んでくるような光景が想像される。

カツオ
第1背鰭 15〜17棘  第2背鰭 2棘12〜14軟条  8離鰭
臀鰭2棘12軟条 7離鰭
胸甲と側線以外は鱗がない。
暖海性の回遊魚で適温は20°〜23℃
表層から中層を遊泳し、時速28,9〜59,4km 瞬間的には時速100kmで泳ぐことができると言われている。
食餌・・・・・イワシ、イカ、浮遊性甲殻類
春 ・・・・・ 鹿児島、土佐沖、紀州
初夏・・・・・ 関東方面
盛夏・・・・・ 三陸沖、北海道沖
魚群は流木やジンベイザメにつく   木付きの群 鮫付きの群

      上部写真のカツオは、漁から帰ってきた船乗りに頂いたものである。