「 キブシの花 」  Stachyurus praecox         キブシ科   キブシ属Stachyurus
        

 春、まだ肌寒く他の木々たちが芽吹きを始めた頃に「キブシ」の花が咲き始める。
 紀北町の山辺にある道路沿いでは、遠くから見ると簾をかけたように見事な眺めを見せてくれる場所もある。
 近づいて見れば、「かんざし」のような姿である。
 花の後に出る新葉は、長い葉柄をもち、卵円形でとがり、縁には鋸歯があって互生する。
 茎の髄は灯芯として使われる。





雄株と雌株があるが、花を開いて調べるとどちらの花にもおしべ、めしべがあり不思議な形態である。
 進化の過程を再現するかのようである。
つまり両性が残っている形態から分化していく過程なのだろうか。
再演性変態のようなことさえ考えられる。
両性花もある。  

写真左は雄株で右は雌株である。
よく見ると雄株の花の方が少し淡い紅色に染まっている。 花期も少し早い。
 
 雄株の花 やくが大きく花粉を抱き、子房が小さい    雌株の花 子房が大きく、おしべが小さい                            
                                                   花粉はできない


  学名の語源は、Stacyus(穂)とOura(尾)を組み合わせたものである。
 北海道から九州まで広く分布している。
 花期は三月から四月頃である。
 果実に含まれるタンニンは黒色染料の五倍子(ぶし)の代用になる。

花言葉は「出会い」である。