「 キンシゴケ 」       Ditrichum pallidum (Hedw.)Hampe


   
   
      胞子嚢
  近くの山肌に生えていたコケである。
 小さいが、近づいて観察すると黄金色が見事である。
 日本名「金糸ゴケ」もこの黄金色から命名されたものと考えられる。
 日当たりのよい場所で群生している姿は美しい。
 特に胞子嚢の柄は黄金色で艶があり群生してよく目立つ。
 胞子嚢は、写真で示しているように楕円体で少し曲がっている。
 
 コケは目立たない植物であるが、よく観察すると不思議なことを発見することもある。
 コケは、水分や養分を根から吸収するのではなく葉から吸収している。
 地球上の生命体が海に発生し、進化をしながら陸上へ向かったと考えられるが、コケは陸上へ移動していた初期の姿、生き方を残しているのではないだろうか。
 海藻も養分は葉から吸収し、根は体を固着する部分に過ぎない。
 コケは生命力もすごい。 小さな瓶の中で「コスギゴケ」を2年間培養実験をしたことがある。
 何も養分など他から吸収することなく光合成のみで生命を保つことができたようである。
  詳しくは、2008年12月No.102 「コスギゴケの生命力」に掲載している。