石器時代の鋭利な刃物「  黒曜石 」

長野県和田峠の「黒曜石」で切り取った紙片 「黒曜石」(右上は貝殻状の割れ方、下は模様入り)

         
 石器時代にはいろいろな岩石が生活道具として使われている。
日本でも黒曜石は北海道の十勝、長野県の和田峠、大分県の姫島などが有名な産地で縄文文化時代には石鏃、石やり、石錐などが作られ遙か遠くの地まで流布されていたようだ。
 ずいぶん昔のことだが、上の写真は長野県の和田峠に行ったときに黒曜石を見つけて試用したものである。 その当時でも峠近くでは殆ど見かけないような状態であったが、汚れた石を割ったりしながら何とか小さなかけらを見つけることができた。
 その時,出会った人(医学生?)から現在でも外科医が手術の時に「黒曜石」を使っているらしいと教えてもらった。 感じとしては鉄よりも佳いのかな?
左の写真は、和田峠で見つけた「黒曜石」のかけらを使って紙片を切ったものだが、自然に割れた部分を使いカッターのように物指しを当てて切ると見事見切れたので驚いた。
この鋭い切れ味だったら魚の調理などもできるはずだ。

世界各地でも新石器時代には「黒曜石」が石やりや石鏃、その他装飾品にも使われたようだ。
アメリカ大陸も産地に恵まれているが、中でもイエローストーン国立公園の峡谷には「黒曜石峡谷」Obsidian Cliffと呼ばれる黒曜石の断崖があるそうだ。 (高さが30mを超える)
アメリカインディアンも優秀な石器を作りだしていたそうである。
南ヨーロッパでも黒曜石を使った石器が発見されている。

岩石は、堆積岩、火成岩、変成岩、(混成岩)に分けられるが、火成岩は粒度、結晶度、鉱物の成分などによって「深成岩」「半深成岩」「火山岩」に分けられている。
火山岩の中にはガラス質からできているものがあるが「黒曜石」もこの仲間にはいる。
貝殻状に割れて、ビール瓶の破片のような外観をしている。