「 マンボウ 」  Mola mola (linne)


                                         
 2004年紀北町船越海岸に漂着した「マンボウ」
  魚とは思えない奇妙な姿で知られている暖海の巨魚。
何となくユーモラスな感じの魚である。
和名や学名からも生きざまを感じるようだ。
茨城以北の地方では「ウキキ」(浮木、浮亀)と呼ばれている。
 北杜夫の「ドクトルマンボウ航海記」は有名である。
江戸時代には各藩が領内の名物を将軍家に献上する習慣があったが、随筆「甲子夜話」には水戸侯からの贈り物に「マンボウ」(浮亀ウキキ)が使われたとの記録がある。  紀州藩では「鯨」と「みかん」が献上されていたようだ。
海に住む生物はよく次の三つに分類されることがある。
 
 ・ Nekton  ( 遊泳生物 )
 ・ Plankton ( 浮遊生物 )
 ・ Benthos ( 底性生物 ) 
 
 この中では「マンボウ」は、浮遊生物に近い感じがする。
 つまり遊泳能力が微弱で流れに、波浪に身を任せてるようだ。
愚鈍で不格好な魚であるが縁起のよい魚とされている。
図案化しやすい形、ユーモラスな感じから名前が施設などに使われることも多い。
海面に浮いていると亀とか木のように見えるので「浮木」「浮亀」とも書かれる。   
2004年漂着したときも沖にはひどい赤潮が発生していたが、外傷など全くないことから考えると赤潮に押し寄せられて浜辺に辿り着いたのかもしれない。  約1.3mmの卵を約3億個ぐらい産み、成魚は体長4m、体重50kgを超すほどになる。  (漂着したのも約50kgぐらいだった)
 孵化して稚魚の時代は、金平糖のような形でフグにも似ているがこのときには尾びれもついている。 しかし、成魚では尾びれが無くなってしまい写真のような形になる。   (再演性変態)
 面白い形や生態だが、自然環境と共に真剣に海に生きる者たちにとっては魚の代表はやはり紡錘形をしたNektonの仲間「ぶり」「かつお」「まぐろ」等になるのではないだろうか。   浮遊生活するマンボウは、近づいてくるクラゲなどを食べて生きている。
波浪に身を任せ、自分はあまり働かず、やる気もなくニートに近い暮らしのように思えてならない。
 卵数も莫大な量で何となく生き残った者に任せているような感じだ。
 しかし、マンボウも地球の一員、共生していく仲間である。