「 ムラサキイガイ 」    イガイ科 Mytilus edulis Linne
      
 
  殻は黒紫色で光沢がある。
イガイの仲間であり「カラスガイ」とか「ニタリガイ」「セトガイ」「東海婦人」「ヒメガイ」「海松貝」「見る貝」などの方言名をもっている。
最近、当地方でもこの貝が減ってきており替わって「ムラサキインコガイ」が増えている。
荒磯全体が変化しているが、今までたくさんいた貝が減少し、新しく進入してきた貝にはびこられるのは寂しい限りである。  海況の変化が著しくなってきたのであろう。
 属名の 
edulis は食べられるという意味である。
ヨーロッパ原産といわれている。   
ムール貝に似ているが日本では奈良時代から食べていたようだ。
天平9年(737)には疱瘡の薬と言って食べるように薦められたらしい。
 しかし、毒性を持つものもあるらしいので要注意である。
この貝の発生については、清少納言にまつわる面白い話もある。 (サカナの雑学辞典篠崎晃雄著)
写真は紀北町船越海岸で撮影したものである。
 少し沖にある定置網の浮子などについているものには大きなものがある。
 漁師の話では、水中で見ると女性のシンボルに似ているらしい。  
ニタリガイ、ヒメガイとはそこから来たものだと言っていた。
三河の渥美半島では輸出用に煮干しを生産して東海婦人と呼んでいたらしい。
瀬戸内海のイガイがシロアリの駆除剤ディルドリンに汚染されていた記録(1978)もある。
清少納言の怨霊だろうか。 人間のわがままな欲望は自然界で跳ね返ってくるような感じがする。

接着タンパク質を分泌し、足糸を作り岩などに付着するが、水中接着剤としての利用が研究されている。
 体外受精後、4〜5時間後には繊毛を有した胚が遊泳し始める。