「 落体の運動(加速度)測定装置
                          重力による加速度測定
測定装置全体図 マーカー液(水滴)噴出口と噴出ノズル
落下記録
 私たちは、科学技術の恩恵を大きく享受する時代を迎えています。
したがって物事を科学的に判断し理解することが極めて重要になってきたと思います。
 しかし、学校教育では理科の時間数も減り実験観察が「ゆとり」をもってできなくなっている現状は残念でならない。
平成14年度から実施されている学習指導要領でも、学校週5日制の下「ゆとり」の中で特色ある教育を展開し・・・「生きる力」の育成をはかると記されているが、学校現場は何かと忙しく、昔のように実験観察で試行錯誤したり、授業時間中に横道にそれるようなゆとりはなさそうである。  
地球上のすべてのものが、環境要因として重力の作用を受けているがこのことについてもあまり触れられない。
万有引力については、物理学者であっても聞かれたら難しい問題であると思うが、月と地球の間、約38万km隔てて引力の作用があるし、太陽では約1億5000万km、銀河系に至っては約10万光年隔てた間でも作用していることを考えると不思議でならない。     宇宙空間では、銀河群、銀河団の間でも作用しているようだ。    我々の銀河系も30数億年経てば他の銀河と衝突するのではないかという説も最近聞いたことがある。
中学校理科では「運動の規則性」のところで内容の取り扱いとして・・・・日常生活と関連づけてと強調されながら「落下運動については自由落下ではなく斜面に沿った運動を扱い、規則性を定性的に見いだすこと」となっているようだ。  (H.14文部省時代のものなので現在は変わっているかもしれない)

この測定装置は、昔の中学校理科学習時間に使ったものである。
その当時、運動の測定によくテープ式の記録タイマー(アメリカPSSCで開発)が使用されたが、テープの摩擦などによる誤差がでるので改善するために試作した。
仕組みは簡単で上部の水槽から着色液(授業では水道水を着色せずそのまま使う)を回転するノズルに補給して水滴を噴射する装置である。
ノズルから噴射された水滴は噴出口から横一直線に並んで運動体に吹き付ける。
落体運動の測定をする場合は、板に貼り付けた長方形の白紙を噴出口前で落下させる。
下部に取り付けてモーターでノズルは定速回転(53分の1秒間隔で噴射)するので右写真のように記録される。
ケース内にたまる水溶液は、ビニール管で装置外へ排出する。
昔は、各区間の速さから加速度を計算したが、今は定性的に判断できればよいのでこれを使えば直感的に理解できる。
わずか30cm位の落下でも速さが変化していることがわかる。
つまり、地球上では常に重力がはたらいているから物が落ちる場合「速さが変化している」ことを理解させたい。
できいれば、運動体に外部から力がはたらかなければ、等速直線運動を続けることぐらいは理解させたいと思う。
なお、長さ30cm位の紙片を落とすだけで記録ができるので30人〜40人ぐらいのクラスでも短時間に実験可能である。
装置を横に倒して水槽を90℃回転させれば、台車などの等速運動の記録も可能である。
この装置は、共立出版KK「科学の実験」誌に投稿したことがある。An experiment in fall movement and its equipment
「科学の実験」は、科学誌として貴重な存在であったが、1983.12月号で休刊となりこれに代わるような月刊科学誌は現在も発行されていない。