「 サモワール 」
日本ではあまり知られていない器具かもしれませんが以前中学校の教科書(国語?)に記載されていたことがあったようですね。 ロシアの家庭で使用される湯沸かし器です。
来客時、すぐに出せるように湯を準備しておいたのでしょう。
父祖伝来の家具として愛用されていたようです。 ロシア的生活様式には重要な家庭用品であったと思われます。
ガス、電気が普及してからは、昔ほど重要な役割はなくなったと思います。
サモワールの語は、ロシア語のサミsami(自分自身)とヴァリーチvarit(沸かす)が結合したもの。
自分は昔、モスクワに住んでいた頃よく使っていたので大変懐かしく想い出される器具です。
帰国後は持ち帰ったサモワールを使っていましたが、ずいぶん古くなり傷みも出てきたので写真の物は、戦後東京日本
橋の店で購入した物です。
なぜここで取り上げてみようと思ったかというと、科学的にも非常に合理性に富んだ器具だからです。
サモワールに水を蓄えて沸かすものですが、貯水されるタンクの中央に筒状の燃焼室があり、その底部に炭火を置けば効率よく水が加熱されます。
つまり水と接する面が非常に広くなっているので熱伝導の効率がよく、貯水槽の形も水の対流を考えています。
したがって、小さな炭火でも長時間保温することも可能です。
なお、部屋の暖房にも繋がり、湯が沸く音も何となく癒される空間を作り出してくれるようです。
形も様々な物があります。
昔、ロシア人たちが寒いシベリヤで使っていたことも想像されます。
写真のものは炭火仕様ですが、電熱線を取り付けて家庭用電気で沸かせるようにしました。
取り扱いが簡単だし、熱源のコントロールも容易です。
主な構造 A 燃焼室の蓋 B ティーポットなどをのせる台 C 貯水槽の蓋
D 貯水槽 E コック F 通気口
G 支持脚部