「 海辺に誘う 」
      写真、標本、実物などの展示会
 
  黒潮が荒磯を洗うように寄せ来る海岸近くに暮らすものにとって海は格別のものですが、町の郷土資料館からお誘いをうけて「海辺に誘う」展示会を2008年8月に1ヶ月間開かせていただきました。
  海岸近くに生息する動植物や珍しい漂着物などを展示するものですが、海への関心を新たにすることもできるのではないか期待しています。      
   
主な展示物   紀北町船越中熊海岸で採集したもの
        ・ 海藻写真 36枚  ・ ふれてみる標本 数点
        ・ 貝の写真 60枚  ・ 貝の標本
        ・ プランクトン 珪藻類標本模型  描画 16枚
        ・ イセエビ  標本 解説 Q&A
        ・ 潮だまりの動物たち  写真20枚
        ・ 漂着物  三重県初記録の「オウムガイ」 や「椰子の実」 「ルリガイ」 「イシサンゴ類」 など

 海辺は季節の移ろいと共に変化に富んだ表情を見せてくれます。
春は水温み、渚に打ち寄せる波も穏やかに磯辺を洗います。
 潮だまりは、心和ませるかのように春の潮を漂わせています。
夏は、群青色の黒潮がひときわ明るさを増して海へのあこがれと希望を喚起するかのように誘ってくれます。
 海に誘われて、健やかさを満喫できるときではないでしょうか。
秋は、潮風にもさわやかさを感じ、海原を眺めると遙か遠い昔を偲んだり、深い想いを募らせてくれます。
 やがて海面は冬の訪れを待ちかまえるかのように色濃さを増してきます。
冬になると波濤は激しくなり、自然の厳しさを語りかけるように、波の音、風の声が聞こえてきます。
 そして何かに立ち向かっていく勇気を与えてくれます。
生命は、大気、海洋、陸地がお互いに関連をもつなかで創り出されてきました。
生命が誕生してから約35億年の間に各地域の環境の特性がそれぞれの生物の多様性、生態系を育んできたものと考えられます。
我々人類も生命の起源から考えれば海に誕生して進化の道を辿っています。
したがって、海のリズムは私達に体に宿り現在に至っても暮らしの中に引き継がれています。
このように海はいつでも私達と関わり優しく迎えてくれます。
海辺で体験し、学ぶことは自然を理解することにつながります。  
水惑星と言われる地球で生き物たちが共生している実感を味わえるのも海辺ではないでしょうか。
このようなことを考えながら「海辺への誘い」の資料作成にかかりました。

よびかけ!
  ・さまざまな姿をした生き物たちが海辺でいろいろな暮らしをしています。
   見たことのある動植物がないかさがしてください。
  ・よく観て生き物の「不思議さ」を見つけてください。
  ・長い地球歴史の中では、地球環境が大きく変化してきました。
    太陽も周期的に変動し、地球の公転軌道も変化しています。
    長い歴史の中では、地球の生態系、気候も大きく変化しています。
    大自然(宇宙)は、有限であり変化していくものです。
    当然地球環境も有限(約50億年の寿命)であり変化を続けています。

 
 その変化に適応し、順応するために生き物たちは自分の姿を変え、暮らしを変えて進化しています。
 私達人類は、快適な暮らしを求めて環境を変え今までに地球にはなかった物質まで創り出しています。
 他の生命体と比べれば桁違いに大きなエネルギー、資源を使い、
生活空間を占めています。
 これからは、限りある
地球環境の中で他の生命体と共に生きるために考えなければならないことがあるのではないでしょうか。