『  トチノキ 』 の 冬芽
 
「トチノキ」は 花が咲き実をつけるまでには数十年かかると思われるが、このトチノキも小指代の太さのものを植えつけてから20数年を経ているが未だに花は咲かない。
 深山とは違い腐葉土もなく、周囲の木々に守られることもないがこの土地が唯一の生きる場である。
  根を張り枝葉を伸ばし十分に自分を完成させてから充実した実をつけるのだろう。
次世代に引き継ぐまでに寒さに耐え、暑さをしのびがんばる姿を見ていると感心させられる。
 冬至を過ぎて日照時間は復活してきたがまだ寒さは厳しい。
樹脂に覆われた新芽はつやがあり太陽の陽を反射しながら輝いているがその姿は生きている証のように充実している。
 害虫たちもこの輝きと樹脂の粘着性のためよりつかない。
春を待ち続けているトチノキの冬芽は、逞しさを感じる。

最近、子供たちのなかには、すでに完成されたかのように大人のまねをして振舞う子もいるが、人の一生を考えれば、植物のように花実をつけるまでに十分根を張り、養分を吸収して枝葉を伸ばしておく時期があっても良いのではないだろうか。   子供らしい好奇心に満ち、喜怒哀楽の感性に強い子に逢うと嬉しくなるこの頃である。
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