「 ウミテング 」  Pegasus draconis Linne  ウミテング科
                                              

背面
 
 天狗と言えば、鼻が非常に高く、眼光の鋭い頑強な怪物を連想すると思う。
また、大きな両翼をうちわのように動かし飛行も自由にできさまざまな神通力を備え持っているとも言われている。   
 古代インドから中国大陸を経てやって来たとの説もあるが、いかに神通力があっても神にはなれなかったようだ。  大酒飲みで赤ら顔だったとも言われている。
 ウミテングは、堅い鎧のような骨板で覆われており平たい形をしている。 したがって鱗がないのでタツノオトシゴにもよく似ている。 体に比べて大きな翼(胸びれ)をもっている。
 吻が長く突きだしており、口は先端ではなく少し離れた下側にある。
 このような天狗の姿を連想してつけられた名前ではないかと考えられる。
ウミテングの学名は Pegasus  ギリシャ神話にある両翼を持つ天馬のことで星座でも有名。
地方名では、和歌山県で「ウミスズメ」「テングウオ」、「サンバソウ」と呼ぶ地方もあるらしい。
英語では、Sea-dragonやSEA-moth、中国では「海蛾」、ドイツでは「Drachenroschen」
天狗の名前はほかの魚介類や動物にもつけられている。
 ずいぶん昔、漁師さんに貰って、剥製標本にしてしばらくもっていたが誰かにプレゼントしたので現在は上にある写真しかもっていない。
 採集したときは海面近くで捕獲したと聞き、飛ぶのではないかとも聞いたが胸びれを動かす筋肉の様子から考えて飛ぶことはできないらしい。    また、飼育された記録も見たことがあるが、そのときは脱皮することも確認されたと言われている。
 暖海性で千葉県以南の南日本、インド洋、メラニシヤ、南アフリカに分布している。
背鰭は5軟条、臀鰭5軟条、胸鰭10軟条、腹鰭は小さく輪状に湾曲している。
写真のウミテングは全長60mmぐらいだった。