『 ウツギ 』
(宇能花ウノハナ)
ユキノシタ科
ウツギ属
「ウツギ」 尾鷲市 天狗倉山にて撮影 2006年6月6日
「ノリウツギ」 紀北町海山区で撮影 2006.7.1.
風薫る5月頃から普通に見られるウツギの花である。
ウツギは、空木という意味で幹が中空であることから名付けられたらしい。
陰暦の卯月(4月)頃に花が咲くからとも言われている。
東紀州地方では5月頃から野山や道路わきで白いウノハナがこぼれるように咲いているのを見かける。
昔、小学生が唱歌でよく歌っていた「夏は来ぬ」のように夏の訪れを感じる花である。
1 卯の花の匂う垣根に 5 五月闇蛍飛び交い
ホトトギス早も来鳴きて 水鳥鳴き 卯の花咲きて
忍び音もらす 夏は来ぬ 早苗植えわたす 夏は来ぬ
佐々木信綱 作詞 小山作之助 作曲
万葉びともこの花を愛でたようで万葉集にも24首の歌が詠まれている。
卯の花もいまだ咲かねばほととぎす
佐保の山辺に来鳴き響もす
大伴家持 万葉集巻八 1477
空木は粘りもあってしなやかであるが、古代の人々は翡翠の原石を磨いて紐穴を穿つときに金剛紗と空木を使っていたらしい。
時じくの玉をぞ貫ける卯の花の・・・・・・ 万葉集巻十 1975
現在では桐箱の木釘に使われている。 くさび形に切り出した空木は乾くと大変硬くなる。