針の木岳

針の木岳
針の木岳

【日 時】2000年 6月16日(金)
【天 候】晴れ
【山 名】針の木岳(2821m)
【山 域】富山・長野
【ルート】 (6:05)扇沢登山口--(7:15)大沢小屋--(8:15)雪渓下部--
(10:05)針の木小屋--(10:50)南ピーク--(11:40)針の木岳山頂(12:10)--
(13:30)針の木小屋--(15:45)扇沢登山口
【所要時間】9時間40分
【メンバー 】単独




梅雨の晴れ間は少ない。天気予報では土曜日は全国的に雨とのことであった。金曜日に有休休暇を取得し木曜の10時頃出発する。中央高速の秦野で仮眠。豊科からは標識に従いスムーズに扇沢に到着。途中、常念、有明、餓鬼、蓮華、爺、鹿島などが朝日に輝いていた。扇沢の駐車場に駐車する。

雪渓
雪渓
扇沢駅のアルペンルートのゲート横が針の木登山口。舗装道路を何回か横切る。トンネル前のところにトイレがありここからから山道になる。谷沿いの道と遊歩道に別れ、遊歩道の道を進む。ブナ林の向うに目指す雪渓が望まれる。暫く進むと雪が現れ、雪渓を数回横切る。道端にはエンコウソウ・サンカヨウ・ムラサキケマンがあった。

1時間ほど進むと突然という感じで大沢小屋が現れる。休憩無料という事で小屋に立ち寄る。小屋の主人と話す。主人は昨日、針の木の途中まで行ったが稜線の雪の状態が良くなかったので引き返してきたそうだ。今年はまだ雪が融けきっておらず、中途半端な状態で残っているとのことであった。

小屋から暫く進むと針の木雪渓に出る。表面は凍っていない堅い雪で登行には問題無い。雪渓の所々に1メートルほどの岩があったが、少し雪の中に潜っていたので、この岩が動き出す心配はなさそうであった。登るほど傾斜が強くなり、マヤクボ沢分岐前で安全のためアイゼンとスパッツを装着する。振り返れば爺岳への稜線が大きく望まれた。

針の木小屋
針の木小屋
ウイークデーにも拘わらず、単独行3組、夫婦連れ1組の登山者が付かず離れず登って行く。先日、登山用品店でアイゼンの調整のアドバイスをしてもらっていたので登りながら幅を調整する。数十回使用してやっと靴に合った感じになった。夫婦連れはマヤクボ沢に登っていった。可成の熟達者のようだ。他の人は針の木雪渓を辿る。私はイマイチ調子が上がらず最後尾となった。傾斜が益々急になる。ルートを示す赤いものが雪の上に撒かれている。マヤクボ沢を見ると先程の夫婦連れが此方よりも斜度のありそうな斜面をユックリ登っていく。沢の上に聳える山が目指す針の木岳と思った(これはスバリ岳であった)。上からスキーで慎重に下ってくる人がいた。

やっとの思いで乗越すと目の前には針の木小屋があった。槍から薬師、裏銀座の雪の山々が飛び込んできた。小屋の横に不要な荷物をデポし稜線に向かう。小屋の人が、登山道の修理をしている。すぐに雪の稜線となり岩場を右に捲いた所から直登の登りとなる。私と二人の単独行は一緒の行動になった。上を見ると先程まで先行していた人が降りてこようとしている。アイゼンなしピッケルなしでは、この先自信がないので引き返すとの事であった。

立山・剣・黒部湖 蓮華岳
立山・剣・黒部湖
蓮華岳
我々は一旦岩稜を登り、雪の状態を観察する。稜線沿いに少し進めば雪の安定したところに出ると推量する。アイゼンを付けて、下草や手強い這い松の混じる岩場を通過するのは体力を消耗するが、この選択が結果的には安全で正解であったように思われた。雪原に出て、トラバースする薄いトレースがあったがここも強引に岩稜を登り、南のピークに達する。南の眼下にダム湖が現れ、黒部湖かと思われたが、これは高瀬ダム湖であった。視界は大きく開け目の前に針の木の山頂が現れ一服する。

稜線を辿り、雪が付いた急斜面を避け、一登りすると山頂に到着する。マヤクボ沢から取っ付いていた夫婦が既に到着していた。眼下に黒部湖が、剣・立山が、爺から白馬、立山から槍、裏銀座などの重畳とした山々が雪を抱き眼前に迫力のある景観を呈していた。どこを撮って良いのか判らなくなってしまうほどの眺望であった。簡単に食事をして、下山に掛かる。

サンカヨウ 雷鳥
サンカヨウ
雷鳥
スキーを担いだ単独行がトラバースルートを快適に登ってくる。私は来た道の岩稜部を辿る。直登部ではアイゼンを装着し慎重に下る。針の木小屋に着いた時には、かなり体力を消耗していたので、蓮華岳は諦めて帰ることにする。雪渓上部は斜度があるので、アイゼンを付けていたが、緩やかになったところから、グリセードで下る。雪は凍っている部分はなく快適な下りとなる。山頂で会った夫婦はマヤクボ沢をグリセードで下ってきたようであった。大沢小屋は閉まっていた。遊歩道の小川で松本から来た単独行と歓談しながら一服する。扇沢駐車場に戻ると山頂で出会った人達と顔を合わせ、本日の素晴らしい山行を確かめ合った。

大町の町営の浴場に入る。天気を聞けば明日は晴れのち曇りとの予報に変わっていたので、翌日も爺ヶ岳に登るつもりで食料などを準備していた。しかし、突然車のエンジンが掛からなくなりJAFを呼ぶ羽目になった。立ち会って戴いたJAFの方も原因が判らず、車を牽引しようかという段階になって、再度トライしてみるとエンジンが掛かった。車の状態がハッキリしないので、爺ヶ岳は諦め帰宅する。


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