汾陽寺山案内
汾陽寺山は、岐阜市の北東寄りに隣接する武儀郡武芸川町にある山で、山麓には、古刹・汾陽寺がある。徳川三代将軍家光の乳母として名高い春日局ゆかりの寺である。標高が500mほどの里に近い山であるが、静かな雰囲気と、低山ならではの自然を十分に味わうことができる。特に落葉樹がすっかり葉を落とした寒い時期の陽溜まりハイキングに適している。
春日局ゆかりの寺から
汾陽寺山(旧名清水山)山名の由来となった乾徳山・汾陽寺は、臨済宗妙心寺派の寺である。役場の資料によれば、「創建ー嘉吉元年(一四四一)斎藤越前守利永、開基−雲谷和尚、再興−延徳二年(一
四九○)斎藤新四郎利国」とある。利永・利国は、美濃を支配した武将で、春日局の父斎藤内蔵助利三は、その縁続きにあたる。局が谷口の里に住んでいた頃、遠祖の創建したこの寺へたびたび参拝に訪れたといわれており、苔むした石畳の参道「お局道」が今も面影を偲ばせている。
ここには県指定重要文化財涅槃図・古文書など数多くの寺宝があるが、現在は施設補修のため、当分の間拝観はできない。
名鉄新岐阜駅前、岐阜バスセンター12番乗り場より武芸谷口行きに乗車、終点で下車する。バス停広場より北に、どっしりとした山塊が目にとまる。これが目指す汾陽寺山である。広場より北へ集落の中を行く。10分ほどで火の見櫓下の武芸洞バス停に出、その前の小橋を渡りすぐ左折し、民家の前を道なりに進むと、寺谷川沿いに出る。右側に田園が広がるのどかな道は汾陽寺の参道へと続く。
静寂が参道の登山口
高いヒノキ・杉の木が立ち並ぶ薄暗いなだらかな参道を進む。前方が明るく間けると、右に本堂を見て、左に登山口がある。入口にはリスの絵入り鳥獣保護地域の黄色い標識が立つ。
植林地の中、小さな流れに沿って細い踏み跡が続く。この辺りには薄紫色のショウジョウバカマがたくさん咲いている。
やがて踏み跡は左手の急な斜面を登り、休猟区の標識のある町境界尾根上の道に出る。右へ2分ほど行くと水壺弘法が祀ってあり、南側が開けて武儀川が望める。ちょっと休憩したい所だ。
道は小屋の裏へ回り込み、屋根の端に覆いかぷさるような崖を上がる。ジグザグにつけられた落ち葉いっぱいの道を登ると主稜上に出る。一升瓶が立ててあり、よい目印になる。右へ平坦な雑木林を行くと、20分弱で反射板の立つ山頂に着く。三本足をした反射板の一角に三等三角点がある。山頂は東側がわずかに開けるが眺望はよくない。
汾陽寺山の奥座敷へ
今きた道から金網を右にして直進し、北東に向かう踏み跡を急下降すると、10分ほどで急に視界が開け、送電線の鉄塔に飛び出す。
山林の中に明るくポッカリ開けた場所は、美濃の山並みが見渡せ、この山の奥座敷という感じである。右から権現山・天王山・矢坪ケ岳・今淵ケ岳・高賀山・相戸岳、雪で白く輝く舟伏山、さらに左は雷倉辺りであろうか。地図を広げていると時間の経つのを忘れるほどだ。
下山は、今下ってきた急坂を山頂まで引き返す。反射板の金網を半周した所から南に尾根を下降する。ほどなく短い岩尾根にさしかかるが、落ち葉が多いので足元に気をつけよう。山頂から10分ほどでT字路に出て右折する。自然林の中をどんどん下ると県道に出る。
車道を5分ほど下り、右手についた未舗装の道をとれば参道へ近い。
<参考>
*逆コースの場合、最近県道沿いの登り口付近の立ち木が伐採されたため、踏み跡が分かりにくい。
*下山コースは、送電線鉄塔から巡視路を利用して、寺尾ケ原公園と、他に紅葉ケ滝へ出るコースもあるが、交通の便がよくない。
*汾陽寺前バス停からは、運行本数が非常に少ない。岐阜バス高野太田線・新関方面から寺尾行きが夕方一便、寺尾発が朝夕各一便のみである。
●踏査年月日
1994年3月19日
●コースタイム(3時間25分)
武芸谷口パス停(25分)汾陽寺参道入口(10分)登山口(28分)水壺弘法(30分)主稜線(19分)頂上・反射板(9分)送電線鉄塔(13分)頂上(38分)県道(10分)参道入口(25分)武芸谷口パス停
●地図名
2万5千図 岩佐
5万図 美濃
●交通機関
名鉄新名古屋駅(名古屋本線・26分)新岐阜駅・岐阜パスセンター(パス・53分)武芸谷口または、新岐阜駅前(名鉄パス・37分)高冨(タクシ‐・13分)汾陽寺参道入口
(車利用)
名古屋(国道22号線・40分)岐南(国道−56号線・256号線長良橋、岩佐経由4l8号線・60分)武芸川町谷口(県道59号線・4分)汾陽寺参道入口駐車場 汾陽寺参道中程に参拝者用が2〜3台のスペースである他は、近くにはない。
●問い合わせ先
武芸川町役場
0575(46)2311
名鉄テレホンサーピス名古屋
05a(582)5151
名鉄テレホンサ‐ピス岐阜
058(264)1372
岐阜パス総合案内所
058(266)8822
高富タクシ‐
0581(22)2321
●MEM○
寺尾ケ原千本桜
汾陽寺山付近の県道59号線沿いには、奥長良川県立自然公園(寺尾ケ原公園)があり、「寺尾ケ原千本桜」が有名。昭和29年頃、ヒノキ・杉を植えると、山の峠に陽があたらなくなるので桜を植えることになった。その後補植され、今は1700〜1800本ほどのりっぱな並木となっている。開花は平年4月10日頃より。