御前岳

御前岳を望む
御前岳を望む

【日 時】2005年 4月18日(火)
【天 候】晴れ
【山 名】御前岳(1816m)・栗ヶ岳(1728m)
【山 域】岐阜
【ルート】 4/17
(16:15)林道ゲート前--(17:40)森茂峠--(18:00)鉄塔--(18:15)森茂峠--(19:05)林道ゲート前
4/18
(5:50)林道ゲート前--(7:15)森茂峠--(8:45)鉄塔[P1364]--(10:05)P1456下--
(10:40)P1614--(11:30)栗ヶ岳--(11:50)栗ヶ岳西峰--(12:50)御前岳--
(13:35)栗ヶ岳西峰--(14:30)P1614--(15:05)P1456下--(15:45)鉄塔[P1364]--
(16:55)森茂峠--(17:50)林道ゲート前
【所要時間】2時間50分・12時間00分
【メンバー 】単独


御前岳は白山山系の東にあり、天羽峠〜森茂峠の山脈にある一等三角点百名山の山である。近くには三百名山の猿ヶ馬場山、天羽峠・籾糠山、栗ヶ岳などがある。山脈の中央に位置し奥深い難峰である。積雪期の記録はあるが北側のものが多く、東側からの記録は見たことがなかった。無雪期に森茂に入ったことはあるが三の谷への林道が良く判らなかった。この時、森茂峠から鉄塔[P1364]まで行ったがその先はヤブが強かった。籾糠山・猿ヶ馬場山まで登れば距離は短そうだが一泊する必要がある。考えた挙句、残雪期に日帰りが可能そうな森茂峠ルートに再挑戦することにした。

17日の午前中に出発したが、一般道を走ったためゲート前に着いた時は16時を廻っていた。車中泊するには日が高いので偵察に出掛ける。林道は起点から雪があり気温が高くワカンを装着する。水平道を左に曲がって谷を右に見るところにデブリがあり神経を遣う。気を遣う部分はここだけで適当にショートカットしながら薄いスキーのシュプールが残っている林道を歩行する。上方に鉄塔が見えてくる。対岸は北斜面で2〜3箇所デブリがあった。積雪は1Mほどだが峠の祠は顔を出していた。尾根に取り付く。順視路は雪で埋まっていたが、木のペンキマークが案内してくれる。急坂を登り、鉄塔下に出たところで18時になったので探索はここまでとする。明日目指す稜線の方向を見ると遠くに白銀の山が望まれたが御前岳はその奥にあるように見えた。来た道を辿る。暗闇となりヘッデンを点し車のところに戻る。

冷え込みは感じなかったが余り熟睡は出来なかった。朝4時頃車が前に停まった。そのまま寝ていると5時頃窓をノックされた。釣りの人で何泊か三の谷に入る予定で、峠までの様子を聞かれた。私も森茂から三の谷付近についての情報を得ることができた。釣りの人は沢のスタイルで早々に出発して行った。

朝の冷気で雪は締まっておりツボ足で出発する。荷は重くなったが、前日のトレースがあり不安は無い。快適に歩を運び、峠で一本入れる。昨日来た鉄塔からは木のペンキマークとスキーの薄いシュプールを追う。唐松林に入ると右に2番目の鉄塔を見る。唐松林を抜けるとP1364の送電塔のピークになる。左に折れ尾根を辿る。無雪期に見たヤブは無く雪の稜線が延びていた。驚いたことにリボンがあり、木のペンキマーク、境界見出線と掛かれたプレートもあり安心する。東に猪臥山が雪を抱いて大きく横たわっている。晴れているが、靄が掛かって、北アルプスは見えない。

緩やかに下り、広い平坦な尾根を右に左に辿る。辺りはブナの疎林帯で快適なワンデリングとなる。登り返したところがP1456の基部で東にはこれから登るP1614峰が大きく立ちはだかっている。アイゼンをここにデポする。屈折ポイントには赤いペンキマークがある。一気の急坂で喘登となる。上部に行く程木が疎になり、ピーク直下は雪壁となる。
森茂峠の祠 P1614峰
森茂峠の祠
P1614峰
乗越したP1614からはたおやかな雪の回廊が栗ヶ岳に延びていた。春が近いせいか雪の斜面は黄色味がかっていた。平坦な雪原を快適に進む。登り始めの雪の上に出た木の上に腰を下ろして一本入れる。

少し笹の出たところからは考えていた以上に急な斜面だった。左目にルートを採り登り切ると稜線に乗る。稜線は西側に雪屁が出ていた。頂は顕著なピークだったがこの先の平坦な山の方か高く見え、ここが栗ヶ岳とは気付なかった。一気に下り登り返すと、また平坦な雪原が広がった。雪原の端に達っすると前方に白く雪に覆われた山が現われた。地図を確認すると栗ヶ岳の先のP1705まで来ていた。前方の山が御前岳だがその間の鞍部には雪のない部分もあり、かなり難しそうに思えた。12時近くになり、体力も可也消耗し本日はここまでとし弁当を広げに掛かった。

下方にトレースらしいものが見えたが、平日にまさかこの地に登山者はいないと思った。景色を写真に収めていると、対岸の雪面を登っている二人が飛び込んできた。急いで荷物をデポし、ザックを食料・飲料のみにして出発。少し下るとスノーシューを括った小さなザックがデポしてあった。三の谷から登ってきたのだろうか。ルート予想した通り、2つの気の抜けない突起があった。何れも南側が崖でトレースは北側から捲いて突起を乗越していた。足跡の一つは中央横のストッパーから木製のワカンを使用しているようだった。最後の突起を越えると急な雪壁が待っていた。壁を越えると雪原が展がった。トレースが無ければ倍の時間を要していたことだろう。登頂を終えた壮年と初老の二人と行き交う。地元の人で御前岳はすぐそこの笹の中にあり、一等三角点も出ているとのことだった。
栗ヶ岳 白山方面
栗ヶ岳
白山方面
一等三角点百名山の名に相応しく山頂からの景観は素晴らしかった。籾糠山の三角形、針葉樹の混じる猿ヶ馬場山、白山方面は黄砂の中にボンヤリと浮かび揚がっていた。笹に囲まれて三角点と白い標杭があった。帰りも時間を要するので景色をカメラに収め早々に山頂を後にする。

御前岳から下降していると、先の二人が下り始めた。栗ヶ岳西峰まで戻り、デポした荷物を回収する。ここから北に派生する尾根(はげくら谷、とうぞう谷に間の尾根)に彼らのトレースが下降していた。午後の太陽の影響か御前岳の雪面が一段と輝いていた。栗ヶ岳へ登り返し三角点を探したが見付からなかった。東の下方にはダム湖が望まれた。雪の下りは快適で体力の消耗も少ない。P1614峰で一本入れる。

急斜面を一気に下り、アイゼンを回収。平坦なブナ林をワンデリングして鉄塔下まで辿り着き食料を補給する。往路のツボ足のトレースはシッカリ残っていた。送電路に沿って下り森茂峠に着く。林道を下り、車のところに戻る。荘川の温泉に浸り、仮眠を取りながら帰途に就く。

森茂峠からのルートは栗ヶ岳まで危ない個所はなく、スキーなどの滑降には適しているかもしれない。栗ヶ岳から御前岳の鞍部は注意を要する。久しぶりの12時間近くの充実した山行となったが、天候に恵まれ、地元の登山者に巡り会え、登頂でき、感謝したい。


籾糠山・猿ヶ馬場山方面

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