白山・別山

白山
別山へのアプローチから白山御前峰を望む

【日 時】1998年10月 9日(金)〜10月11日(日)
【天 候】
【山 名】白山(2705m)・別山(2399m)
【ルート】 10月 9日 (20:30)自宅==(02:00)市ノ瀬駐車場
10月10日 (06:30)市ノ瀬駐車場==(07:30)別当出会--(8:30)中飯場--
(10:00)甚之助ヒュッテ--(11:30)室堂--(12:30)御前峰--(15:00)大汝峰--(16:00)室堂
10月11日 (7:00)室堂--(8:00)南竜ヶ馬場--(9:00)油坂の頭--(10:30)別山--
(12:00)千振尾根避難小屋--(15:00)市ノ瀬・白山温泉==(20:30)自宅
【所要時間】 8時間30分、8時間00分
【メンバー 】二人




妻にとって白山は眺める山であった。私は白山は既に登っており周辺の大日岳や経ヶ岳など二百名山・三百名山に登ることが多くなったためである。白山のたおやかな印象が強く残っているようで次の山行は白山にするよう言ってくることが多くなった。今年中に白山に登るにはそろそろ最後の機会になると思い出かけることにした。20:30自宅出発。名神から北陸道に高速を乗り継いで午前2時に市ノ瀬に着いた。見ると別当出会いへの道は通行規制の標識がでていた。市ノ瀬の駐車場に車を停めその横にテントを張る。この時は駐車場は3〜4分の入りであった。銀マットを忘れた為、地面から冷え込みが厳しく伝わってきた。夜間車が往来していたが、別当出会に入っていく車もいた。朝起きてテントから顔を出すと駐車場の係員らしい人が「ここは駐車場ですから速やかにテントを畳んで下さい」と言われる。外を見廻すと駐車場は車で一杯になるところであった。あわててテントをたたみ身支度を整える。前もって北陸鉄道バスに発着時刻を問い合わせていた。バスは一日一本で8:25のみとのことであった。が、それは金沢への便で市ノ瀬・別当出会間は今日・明日は朝5時〜午後5時まで臨時のピストン輸送とのことであった。

それにしても人が多い。簡単な食事などを済ませバスに乗り込む。バスは満車になったら随時発車していた。白山釈迦岳へのルートで一人降りた。別当出会いには出発の準備やら記念写真やらで大勢の人がいた。

登山口は砂防新道・観光新道共通であった。砂防新道は一旦下り橋を渡り川の左岸を溯ることになる。足元の草に朝露ついている。子供から年齢を重ねた人まで様々な人が登っている。一登りすると林道に出て中飯場に着いた。立派なトイレと水場があり多くの人が休憩をとっていた。

ここから少し登り林道に出る。潅木の中の九曲折れを登っていくと別当覗きに着く。対岸に観光新道が望まれる。別当出会いは見えないようだ。長い登りで、甚之助ヒュッテの手前で小休止をとる。本日の予定は室堂泊りなので暫く進んで甚之助ヒュッテでも休憩をとる。ここまでくると視界が開け明日予定している別山が大きく見える。

少し登り南竜ヶ馬場との分岐に着く。天気が良く汗ばむ陽気になった。左にトラバースぎみに進むと岩場の出ている道となる。雨の後で沢筋の水場が幾つかあらわれる。最後の水場から急登となる。皆、喘ぐようになるが、元気な子供がスタスタと追い抜いていく。妻はこの辺りからやや疲れぎみである。登りきったところが黒ボコ岩で休憩する。ここで観光新道と出会う。白山御前峰が大きく望まれ室堂の赤い屋根も望まれる。阿弥陀ヶ原が広がりその向こうに別山が厳つくみえる。ヘリコプターが朝からひっきりなしに往復している。今シーズン最後の作業であろうか。

辛い登りも峠を越し、阿弥陀ヶ原の平坦なジャリ道を抜け、室堂への最後の登りとなる。大石の道となり人が一段と多くなったような気持ちになる。ヘリコプターは屎尿の入った缶を運んでいた。

室堂へ着き早速宿泊の手続きを済ませる。午前中からの宿泊手続きは初めてである。部屋に入って少し休み、昼食とする。隣に福井の夫婦が入ってきた。私達が三重からきたと伝えると、旦那さんが以前、三重に居たことがあるとのことで話が盛り上がってしまった。

ザックを食料とビデオとカメラのみにし御前峰に出かける。妻は空身であったが少し辛そうであった。大きな祠があり少し先に三角点・山頂があった。剣ヶ峰が眼前にせまり大汝峰や七倉岳が見える。池は位置の関係で紺の池が見えるのみであった。北へ続く稜線の展望を期待していたが、笈ヶ岳方面の視界はなかった。八方崩山がその名の通り大きく崩れた地肌をみせているのが印象的であった。山頂では記念写真などをとる人で一杯だった。御岳・乗鞍・北アルプスも見渡せた。人がやや少なくなったとき突然、数人の男女のコーラスが始まった。大学のサークルの集まりであろうか。歌い出すと、辺りは静まり山頂での音楽会となった。何の曲だったかは解らなかったが綺麗なハーモニーを交えた歌声が見事で、清々しい気持ちになった。

山頂から御池巡りに出かける。火口原へ降り立つと御前峰の岩壁や紺の池の後ろの剣ヶ峰が荒々しくみえた。少し進むと翠ヶ池が現われた。何ともいえぬ美しいブルーである。大汝峰に登るため道がやや引き返しぎみになるので少し戸惑う。大汝に向かうと俄然人が少なくなる。捲道との分岐から登り出すが踏跡が薄く赤ペンキもあるが小さく解りずらい。稜線ややの右目(北目)を辿って行くのが正解のようだ。稜線に出ると踏跡は明瞭になる。御前峰から眺めていた時はかなり厳しい登りになると思っていたが意外と呆気なく頂上に到達する。北への視界は生憎、得られなかったが、御前峰・剣ヶ峰や御池巡りの池が全て眺められた。ここまで登ってきた甲斐があった。

夕食は5時からであったので間に合うように室堂へいそいだ。ヘリコプターは相変わらず忙しく飛んでいた。2機あり1機は登山道修理の為、石を運んでいるようであった。食堂へは長蛇の列ができていた。列に並んだが寒さが身に堪えた(前に並んだ外人さんは半ズボンであったが)。夕食はカレーであった。暖かいポタージュが美味しかった。

部屋に帰ると福井の人との三重県談議が始まった。かなり思い入れがあるようでいつ果てるともしれない話になった。奥さんから他の人に迷惑が掛かるとの声が掛かってやめになった。夜はかなり冷え込んだが、2人分の毛布を掛け充分寝ることができた。

翌日は快晴であった。福井の夫婦は御前峰までご来光を見に行った。私は室堂の小高い所からご来光を見た。乗鞍の南の山麓から太陽が上がった。朝食を済ませ身支度を整え出発する。今回の山行のメインは本日の行程にある。冷え込んだので下着や雨具も着込んで南竜ヶ馬場を目指す。トンビ岩から南竜荘やキャンプ場が眼下に望まれる。大きなザックを背負った女性の単独行が昨日千振尾根をこえて南竜ヶ馬場でキャンプしたそうである。別山に向かう人は皆さん健脚のようだ。このあたりで少し進むと汗ばむようになったので夏山スタイルとなる。南竜ヶ馬場までは案外時間をかけてしまった。休憩所で妻が着替え休憩する。

木道を越え谷に下り、水を補給する。ここから千振尾根下部までは水場はない。意外と登山者は多い。ここから今日一番の急登りが始まる。油坂の登りである。我々を追い越していった人がいいペースで引っ張ってくれる。

一汗かき油坂の頭に着き一服する。平瀬側のダム湖が見える。御前峰から南竜ヶ馬場へ白山釈迦岳から八方崩岳へと白山が縦にも横にも大きく広がる。急登はここまでで左に御岳・乗鞍・北アルプスを眺めながらしばらく快適な稜線漫歩が続く。幾つかアップダウンを繰り返し御舎利岳の前あたりから喘ぎ始める。直接、御舎利岳には向かわず、左への捲き道から別山を目指す。

やっとのことで別山に到着し、宿泊所でもらった昼食を食べ元気を取り戻す。ここからの景観はこの山行で最も素晴らしいものであった。午前も遅くなるにつれて益々空気が澄んでいった。遥かに遠い北アルプスの岩襞も顕われてきた。乗鞍もきれいに見えたが、なんといっても御岳が大きかった。南には別山からさらに続く尾根が素晴らしい。別山平の向こうに三の峰が存在し二の峰・一の峰・銚子が峰・願教寺・薙刀・野伏・小白が続く。東は一昨年登った大日岳、ひるが野高原をはさんで鷲ヶ岳が望まれる。西にはこの山行中、常に望まれた赤兎・大長山が近くに見える。背後に今年登った経ヶ岳がどっしりと鎮座する。荒島岳・能郷白山・部子山なども望まれこの山の素晴らしさを改めて実感した。

引き返し御舎利岳から下山にかかる。遥か下に赤い千振尾根避難小屋が鮮やかに見える。一気の下りとなるがなかなか小屋までの距離は縮まらない。この尾根を登りに使うのはなかなか大変そうであった。下りはコースタイムどおりの時間を要した。小屋に着き一服していると一組の夫婦が登ってきた。言葉を交わすと同じ市の人であった。彼らは岐阜側の平瀬コースから登る予定であったが、通行不能のため白鳥から市ノ瀬へ回ってここまで来たとのことであった。私達も平瀬コースを考えていたがネット上でこのコースが通行不能である情報を得ていた。彼らは時間的に別山に行くには無理なので本日はここまでで下山するとのことであった。

ここからの楽しみは千振尾根の下部に広がるぶな林である。小屋からしばらく下ると笹原が広がりその下に山麓一面にぶなの林が広がっていた。ぶな林にはいると紅葉が鮮やかになった。大きなぶなの木が行けども行けども続いた。ぶなの林は登山口まで続いていた。巨木で有名な美人ぶなの木を探していたが見つけることはできなかった。

市ノ瀬の車のところに戻り池田旅館の白山温泉に入る。冷水と温水のヒノキ造りの湯船があった。入浴法として一分毎に冷水と温水を交互に入るような案内があった。実際試してみたが効果があるような気もした。温泉に入りサッパリした気分で家路についた。




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