阿蘇烏帽子岳・大船山

大船山
大船山

【日 時】1999年 1月 4日(月)
【天 候】
【山 名】阿蘇烏帽子岳(1337m)・大船山(1787m)
【山 域】熊本・大分
【ルート】 (7:30)草千里--(9:00)阿蘇烏帽子岳--(10:00)草千里==
(11:30)長者原--(12:30)雨ヶ池越--(13:30)坊ヶつる--(15:00)大船山--(18:00)長者原
【所要時間】 2時間30分・6時間00分
【メンバー 】二人


56号線より阿蘇の有料道路に入る。朝の冷え込みで道路が濡れている部分があり注意して走る。料金場で噴火口の通行は8:40からとの情報を得る。本日は大船山に登ることがメインである。阿蘇高岳は以前ゴールデンウィークの時、豪雨の中登った記憶がある。標高はやや劣るが一等三角点のある阿蘇五岳の一つ阿蘇烏帽子岳に登ることにする。

草千里の駐車場はまだ業者の人がいなく閑散としていた。天候は快晴で草千里の向こうに朝日に阿蘇烏帽子岳が映えている。草千里は中央が丘になっており左右に池がある。中央の丘に進んでいったが道がなくなってしまった。地図を確認すると西側の丘に道らしいものがあった。朝の冷え込みで水分を含んだ道は凍っており歩きにくいが、アイゼンを付けるほどではない。ワレモコウなどの木々は寒さで白んでいる。手袋もスキー用のものにした。今回の山行で始めての冬装備である。

登りきったところから少し右に行ったところに山頂があった。一等三角点に相応しい眺望であった。噴火口そのものは覗けないが噴気があがりその輪郭がしっかりととらえられる。周辺には外輪山が広く取り囲み阿蘇の大きさを実感できる。北にはこれから目指す久重の山々が望まれる。東には祖母山が特徴的だ。南には九州の重々たる脊梁山脈が控え今回登れなかった国見岳が高い。

帰りは日も高くなり登りに凍っていた所も歩き易くなっていた。草千里では子供を馬に載せていた。

ヤマナミハイウエイを急ぐ。久重山の牧の戸には車が多く駐車していた。標高があり久住山へはここからが最もアプローチしやすいのであろう。長者原へはかなりくだる。駐車場は閑散としていた。雨ヶ池越方面の道が良くわからなかった。土産物屋の横の道に出たがこれは久住山へむかう道であった。しかたなく自然観察遊歩道を歩いていくと終点に雨ヶ池越方面への案内標識があった。

坊がつるまで4.8kmの標識があった。出発時間が遅いので自然と早足になる。しばらくは平坦な疎林の中の歩行で距離は進む。雨ヶ池越へのところがやや登りになる。12時に長者原から時を告げる坊がつる讃歌が流れた。登りきったところで休憩をする。昨年ゴールデンウィークに登った湧蓋山が見える。

ここからは峠越えとなり雨ヶ池越にある池は凍っていた。坊がつるまでは2.6km位で緩やかな下りとなる。すれ違う人に「これからですか」と尋ねられる。道が幾筋も走るようになる。真中より外れた道の方が歩きやすい。坊がつるに降り立つと九重山のど真中に着たなという感慨がわく。三俣山がデ〜ンと目の前に鎮座する。九重の巨峰にはさまれた盆地の中を小川がさらさらとながれている。ここから見上げる大船山は高く、山頂付近は氷雪で白くなっているように見える。これから1時間ほどで登れるのかと不安になる。不要な荷物をここにデポする。

キャンプ場に進むとテント一張りあり、二人が寛いでいた。平治岳との分岐から大船山への登りに取り付く。この道も幾筋も道ができており、脇の道の方が歩きやすい。登るにつれて斜度が増す。最初のうちは山頂までXXkmの案内がある。突然5合目の標識が現れる。まだ半分かという思いになり、しばらく進んで休憩をとる。振り返れば硫黄山から噴煙が激しい。

まだまだきつい登りは続くと覚悟を決めて登りにかかるが、以外とあっさりと稜線に到達する。霧氷を頂いた大船山が間近に迫り気分も新たになる。避難小屋を横に見やりながら山頂を目指す。ここからの道は雪はついていたが午後も遅いので凍りついているような個所は少なかった。若干岩場もあるが慎重に進めば問題はない。

大船山山頂からは九重の山々が指呼の間に望まれた。また夫々に個性のある山々にはさまれた坊がつるの眺めが印象的であった。山頂には坊がつる讃歌の歌碑もあった。南側は霞んでしまったが、北には特徴のある由布院岳が聳えていた。

時間的に余裕がないので明るいうちに峠までたどりくことを目処に下山にかかる。下山中まだ登ってくる人がいてお互いに驚いたが、彼は坊がつるでキャンプを張っているとのことであった。キャンプ場にはテントが3張り張られていた。坊がつるでデポした荷物を回収し雨ヶ池越を目指す。夕暮れになり、長者原を見渡せるところに着いた時は日没を少し過ぎていた。長者原の後ろに聳える湧蓋山が夕映えに染まり美しい景観をなしていた。妻は少しの時間であるがスケッチをしていた。

長者原までは暗闇となり途中からヘッドランプを使用した。半分くらいの距離はヘッドランプなしで歩行したが、なぜかヘッドランプなしの方が歩きやすかった。

温泉はうたせ湯の筋湯温泉にした。私は以前入ったことはあるが妻は初めてであった。ゆっくりしたところで妻は電話をかけていた。空をみあげると満天の星であった。

久住山・湧蓋山・阿蘇高岳は過去に登ったがいずれも天候には恵まれず、この山域での三度目の敢行が実った。総じて今回の山行はすばらしい天候に恵まれた。旅の最後に「坊がつる讃歌」を記しておく。

     人みな花に 酔うときも
     残雪恋し 山に入り
     涙をながす 山男
     雪解(ゆきげ)の水に 春を知る

     ミヤマキリシマ 咲き誇り
     山くれないに 大船(だいせん)の
     峰を仰ぎて 山男
     花の情けを 知る者ぞ

     四面(しめん)山なる 坊がつる
     夏はキャンプの 火を囲み
     夜空を仰ぐ 山男
     無我を悟るは この時ぞ

     出湯(いでゆ)の窓に 夜霧来て
     せせらぎに寝る 山宿に
     一夜を憩う 山男
     星を仰ぎて 明日を待つ

長者原からヤマナミハイウェイを使って帰路に着く。由布院、別府から国道10号線に入って小倉東から高速に乗る。寒波を避けるため山陽道に入る。防府付近で仮眠する。広島から中国道に入り運転を交代しながら無事帰宅。



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