日本コバ

【日 時】1999年 3月28日(日)
【天 候】晴れたり雨
【山 名】日本コバ(934m)
【山 域】滋賀
【ルート】 (11:30)自宅==(13:30)日本コバ登山口--(15:30)日本コバ--
(17:00)日本コバ登山口==(19:00)自宅
【所要時間】 3時間30分
【メンバー 】単独

土曜日は雨で山行きは中止。本日も遅いスタートである。土倉岳か天狗堂への計画で出発する。国道421号線の石榑峠が通行できることが分かり、ラッキーと思っていたが、君ヶ畑へ向かう途中の蛭谷で道路工事のため通行止めになっていた(今後この方面に向かわれる方はご注意を!)。

このまま帰宅するのはもったいない。で、銚子ヶ口か日本コバにするか迷った。どちらも以前にも登ったことがある。銚子ヶ口は少し時間を要する。日本コバは梅雨の季節に登ったので全行程雨の中であった。本日は天気もよさそうで、前回は「ヒル」と「レンゲツツジ」しか印象に残っていない日本コバにする。

登山口を探すのにまよう。登山口から暫く進むと苔むした小さな神社がある。杉林の歩行。藤川谷の右岸から左岸に渡る。バラックの小屋のあるあたりで杉林もろとも崩壊している箇所があった。通行する部分は枝払いされているので心配はない。この部分を抜けると左にきれいな滑滝があらわれる。2〜3回の徒渉の跡、右岸に渡る。このあたりから自然林となる。川音に小鳥の囀りが聞こえる。鳥の泣き声の判別もできるようになりたい。囲炉裏のメンバーの方に詳しい方がおられるようだ。

天気は問題無いとたかをくくっていたが、霙(みぞれ)交じりの雨が降ってきた。緩やかな谷の遡行を続けていたが岩屋という急な岩場になり、緊張する。登りきるとなだらかな道となり、政所当面への分岐となる。一旦下ると谷の源流部の湿地帯になる。前回の山行ではここで「ヒル」に食われた苦い経験がある。道はさらに下り湿地帯から流れ出る小川を渡る。最後の登りとなるが、霧の中に雪が現われる。そういえば来るとき鈴鹿の雪のはすっかり無くなっていた。今年の雪は多かったようだが、雪解けは早いのか?

山頂は風が強く雪雲におおわれて眺望はなかった。松の木が目に付く山項であった。以前の時は雨であったが少し視界があり、雨に濡れた「レンゲツツジ」が印象的であった。晴れていれば湖東一帯を一眸できるとのこと。食事をとり帰りかけた時、少し視界が開けた。

帰路、岩屋に立ち寄る。岩の隙間から中に入ると数メートル四方程の空間があった。岩場から見ると下は晴れていた。あたりにはフキノトウが咲いていた。途中、どうみても飛翔の下手な大きな鳥がバタバタと慌てて飛んでいったが雉であろうか、ひよどりであろうか。おさないころ一度だけひよどりをとったことがある。私が作ったこんな簡単なしかけにかかるものなんだという印象と、暖かいと思って触ったその死骸が冷たく硬直していたことを思い出す。

コバ(木場)とは伐木集積用狭小平地の意味で、転じて仕事場・憩い場・更に焼畑をも意味する。木木場・こさばともいい、山頂部、谷間とも同じような地名がある。鈴鹿は東側は急峻であるが、西側は緩やかな山系を形成している。今回の山行は主脈からはずれるが、奥深い里と清らかな川が流れる山域で静かな山行が楽しめた。山頂部に降った水が歩を進めるとともに美しく成長していく。ミニ登山ではあったがその過程を味わうことができた。




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