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　　　　　　　　　　　　日常の風景　　　NO.0019
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茶瓶鳥をさがして

早めの食事をとるため、３階の廊下にでると、　
彦根城が青空にすっくりと見える。
はなやかな桜の季節が終わり、
若葉の生命力に城全体が持ち上げられているようである。

お城から、稜線に沿って視線を南にたどってゆくと、
ちいさなビルや、住宅のいらかの間から琵琶湖が見える。
ときおり、陽を反射して、ダイヤのようなかがやきを見せている。
こんなに遠くまで見通せるのは滅多にないことである。

迷うことなく、コンビニで弁当とお茶を買い、
いつものベンチに座っていた。

昼休みの時間なら、わりあい、にぎやかになるのだが、
いつもより１時間早いおかげで、ベンチにはわたしひとり。
桜の青葉をパラソルにして、
ゆったりとした時間がながれていく。
何も考えることがなく、
ぼけっと、ただただ時間が過ぎて行くのをベンチで待っている。

そんな時である。
どこからか「チャッビン、チャッビン」という鳥の声が聞こえてきた。
最初に「茶瓶」と刷り込まれてしまったので、
他の擬音に置き換えようとしても、どうにもならなかった。

何度も、何度も、ごく近くから聞こえるので、
桜の木、電柱、後ろの街路樹と視線をめぐらしてみたが、
どこにも鳥の姿は見当たらない。
「チャッビン、チャッビン」とかわいく鳴いている。
チャッとビンの間に微妙なひと呼吸がある。

わたしは、すぐに鳥の姿を探すのをあきらめてしまった。
若い頃なら、鳥が鳴き続けている限り、
その姿を求めて止まなかっただろうと思う。
でも、今は、ミステリアスな「茶瓶鳥」のままでで
いいじゃないかと思うようになった。

「茶瓶鳥」を見つけるため、上を見上げ、そのままじっとしていると、
透明な青空と、モザイクのような無数の若葉との間に距離感がなくなっていた。

「チャッビン、チャッビン」まだ鳴いている。
おだやかに、年を取ってゆけるのなら、
それも案外悪くないのじゃないかとふと思った。



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ｓｃｅｎｅｒｙの風景

擬音語はその国の文化でもあると思います。
百科事典で調べてみると、
ニワトリの鳴声「コケコッコー」が
英語なら　cock-a-doodle-doo 「コッカドゥドルドゥ」

フランス語なら　cocorico
ドイツ語なら　kikeriki
だと書いてありました。

わたしの発見した茶瓶鳥を誰か知りませんか？
はじめて聞いたような気がしますので、
それほどなじみのある鳥だとは思いませんが、
山奥で聞いたわけではなく、普通の街角で聞いた鳥なのです。

野鳥に詳しい人なら、あれとちがうとすぐにわかるかもしれません。
「チャッビン、チャッビン」とかわいい鳴声です。
チャッとビンの間に微妙なひと呼吸が特徴だと思います。

もし、心当たりがあれば、メールかＢＢＳで知らせていただけると
とてもうれしいです。


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