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            日常の風景   NO.0024
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ビックリミラー

体操の嫌いなわたしが、毎朝しぶしぶ、
みんなといっしょに手足を動かしている。

できるだけ隅のほうで目立たないように、
ふてくされている。

そのわたしの前にぴかぴかにワックスされたくるまがあった。
どういう光線のかげんか、
車のドアが鏡のようにひかりをはじきかえしている。

つまらなさそうな顔をした、わたしが映る。
ビックリミラーのように横長に変形して映る。
手を上げるとまるで子供の手のようにかわいく映る。
横に手を広げると、まるでかかしだ。

横長の顔は笑っているのか、泣いているのかよくわからない。
さみしそう。

ふしぎなことにおもっきりジャンプをしたのに、
鏡のわたしは、ぴくりともうごこうとはしない。

あいかわらず泣き笑い顔をして、わたしをみつめていた。



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sceneryの風景

正確にいえば、体操が嫌いなわけでは、決してありません。
強要されて、みんなが一斉に同じ方向を向き、同じ動作をする。
このような状況を本能的に胡散臭く感じるだけです。

毎朝行われる、ワードトレーニングにも同じことが言えます。
「ありがとうごさいます」「お待たせいたしました」
「申し訳ございません」
幼稚園児のように、こんな言葉を一斉に唱和して、
何かしごとの上でプラスになることがひとつでもあるのでしょうか?

人間的な情感をなくし、ロボットのようになることを強要される、
殺伐とした体操、朝のミーティングを経て毎日のしごとが始まります。

わたしの会社はフルネームで言えば、舌を噛みそうになるほど、
長ったらしいのです。

電話での応対を毎朝練習していますが、ワードトレーニング以外で、
我が社をフルネームで言っている人の声を、
わたしはまだ一度も聞いたことがありません。



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