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            日常の風景   NO.0040
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ろうそくの灯かり

中央にある直径10cmはあるだろう、
大きなろうそくの灯がちいさく、右に左に揺らぐのを
わたしは無心に見つめていた。

礼拝堂の灯かりといえば、クリスマスのミサに参加した、
30人ほどが、それぞれ手にする、ちいさな燭台のろうそくの灯と、
祭壇に飾られた、6本の長いろうそくのみである。

クリスマスイブに近くの教会で開かれる、
キャンドルサービスのミサに誘われたとき、
正直なところすこし億劫だった。

ろうそくだけの灯かりのなかで、グレコリオ聖歌が
重厚なオルガンの伴奏で、朗朗と独唱されたとき、
敬虔なその雰囲気に圧倒されて、来てよかったと思った。

イブのミサは、信者ひとりひとりによる聖書の朗読、そして
全員で歌うクリスマスキャロルが交互に繰り返された。
クリスマスキャロルなら、わたしにもなじみのある歌が多い。
「きよしこの夜」「もろびとこぞりて」・・・

信者のなかには、アカペラの伴奏のように、ハーモニーを響かせるのがうまい人がいて、
パスのパートや、テノールのパートを器用に歌い分けている。
ちいさな礼拝堂は、オルガンの伴奏に合わせて、
和音、メロディがいっぱいに満ち溢れ、濃密で高揚した気分に満たされる。

やがて、フィジーから来た大学の留学生が、英語の聖書で、
創世記のアダムとイブの物語を読んでいる。
物語を知っているから、響きは英語でも、イブが蛇にだまされて、
りんごを食べさせられるシーンなどはよく理解できた。

格調高い英語をまるで、音楽のように聴きながら、
ろうそくの灯かりは、なぜこんなにも、あたたかく、懐かしく、
気分が落ち着いてくるのだろうとずっと考えていた。



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sceneryの風景

本文の続きである。
たぶん、これは根源的な部分にかかわりがあるはずである。。
人間のDNAのなかに、組み込まれているのではないだろうか ?

人間が火を使い出してから、50万年。
電気の明かりを使い出して、たかだか100年である。
原始時代、夜になって、火が焚かれる。

家族は、そのまわりに集まって、団欒をしたであろうし、
なによりも、火のぬくもり、明かりは、祖先に安心感をもたらしたはずである。

50万年という時間は、人類のこんな感情をDNAのなかに閉じこめるのに、
十分過ぎるほどの時間だと考えたのですが・・・

だから、わたしたちは、ローソクの灯かりが揺らぐのを見ると、
みんな、なんとも言えない、懐かしさを感じるのではないでしょうか。

話は変わりますが、
クリスマスイブのミサに参加した教会は、わたしが子供の頃、
毎、日曜日、教会の日曜学校に通っていた教会です。

小学校の頃、クリスマスになると、大きなクリスマスツリーをバックに、
聖書にちなんだ劇を一生懸命に演じていました。
そんな、想い出も、相乗効果となってなつかしさを感じたのかも知れません。

わたしたちは、両方とも、はっきりと見ることは出来ないのに、
DNAの存在は、明確に信じられて、神の存在はなぜ信じられないのでしょう。

正直にいえば、わたしは神の存在を信じるほうの人間なのです。
仏教の仏様とかキリスト教の神とはすこし違う神です。

端的に言えば、宇宙の意志とでもいえるような神です。
聖書に、「はじめに言葉ありき、言葉は神なりき」という有名な一節があります。
わたしはこの聖書に書かれた、「言葉」という抽象的な概念を神として信じたいのです。

仏教にも「色即是空」「空即是色」というすてきな教えがありますよね。

「日常の風景」今年はこれが最後の発行になります。
みなさん、応援どうもありがとうございました。
いいお年をお迎え下さい。
来年もよろしくお願いいたします。



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