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            日常の風景   NO.0047
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比良の夕焼け

本を持つ手が、急に赤く染まった。
窓の向こうを見ると、比叡山から比良山脈へと続く稜線の向こう側に、
夕陽が、今まさに沈もうとしていた。

ベッドで横になっていた相棒にも声をかけ、
陽がゆっくりと沈んで行くのを黙ってひたすら見つめていた。

太陽が完全に稜線の向こうに隠れてしまうと、
山々はのっぺりとした巨大で濃いグレーの連なりになった。
夕焼けでかがやいている、空とのコントラストが鮮やかすぎて、
その境界線は神秘的でさえある。

ここは、琵琶湖大橋を間近に見下ろせる、
有名なリゾートホテルの一室である。

昨年、年末ジャンボ宝くじを会社の仲間とグループで購入したとき、
もし、3億円当たれば、何に使うかという話題で盛り上がったことがあった。
家を建てる。車を買う。世界旅行をする。すぐに会社を辞める等など、
しばらくは話題に困らなかった。

わたしには、密かな自分だけの夢があった。
それは、高級な超一流のホテルで、
読みたい本をいっぱいかばんに詰めて、
一ヶ月ほど生活することである。

超一流のホテルで生活をする。いいと思いません?
ホテルには贅沢のすべてがそろっています。

食事は、部屋で食べてもいいし、好きなレストランに出かけてもいいのです。
和食、中華、イタリアン、フレンチ、エスニックとなんでもあります。
洗濯はクリーニングに出せばいいのだし、外出している間に、
部屋の掃除もきちんと片付いているでしょう。

ただし、この夢、むりやり実現しようと思えば、今でも出来ないことではない。
でも、今それをしても多分楽しくはないだろうと思う。
贅沢を楽しむには、お金以上に気持ちの余裕、ゆとりのようなものが必要なのだ。

ところが、ラッキーなことに、この夢を一日だけ味わえる機会が訪れた。
ホテルの無料宿泊券なるものを手に入れたのである。

ホテルの親会社のクレジットカードの会員になるだけで、
一泊が無料だとの情報を手に入れ、半信半疑で申し込んだところ、
見事にホテルの無料宿泊券が贈られてきた。

気持ちに、これ以上望むべくもない余裕が出てきたのは言うまでもない。
本をかばんにいっぱい詰めて、
15時のチェックインから10時のチェックアウトまで夢のホテル生活を満喫した。

陽がすっかり沈んでしまったというのに、
ふしぎなことに琵琶湖の湖面はきらきらと明るさを増しているように思えた。
やがて、琵琶湖大橋を渡るくるまにヘッドライトが点るようになると、
あちらこちらでもちいさな灯がともりだした。

湖面のふしぎなかがやきは最後まで残っていたが、
やがて、夜のとばりのなかに消えた。

すこしぐらいは贅沢であっても、次は正規のお客さんでまた来ようと思った。



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sceneryの風景

会社の食堂で昼食をとっていると、
すこし遠くのテレビに、ブッシュの顔が写り、
戦争を準備している空母の映像が写り、
見出しに文字で「カイラク」と表示された。

あっそうか、戦争をすることはブッシュにとって
快楽なのかと、妙に納得してしまった。

凡庸な指導者に世界が振り回されるのは、歴史の不幸である。
やはり、指導者には親の七光りというようなものではなく、
聡明で思慮深く、それでいてしなやかな決断力のある、
政治家としての才能のある人がなるべきである。

最初のシーンに戻って、まさかそんなはずがないと、
角度を少し変えて、目を凝らしてみたら、
「対イラク」の読み間違いだった。

広島に反戦の人文字を書くために、全国から人がぞくぞくと集まった様子だし、
日本の反戦運動も、すこしずつうねりが出てきているようで嬉しい。

友人から、紹介された、
「税金からの戦費拠出を糸口にイラク攻撃に反対を訴える」
というサイトのURLを下記に書いておきますので、
ぜひ一度アクセスしてみてください。

http://www.geocities.com/ceasefire_anet/misc/tax.htm

ネット上で参加できる反戦運動にもいろいろとリンクが貼ってあります。
ユニークな視点で、具体的に反戦への説得力があると思います。



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