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            日常の風景   NO.0059
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おばあさんと地蔵さん

私のかなり前をひとりのおばあさんが、ゆっくりと歩いている。
白っぽいグレーのブラウスに、淡いブルーのスカート。
黒いショルダーバッグをたすきがけにして、小型の乳母車を押している。

わたしの徒歩での通勤通路である、路地裏の道にはお地蔵さんの数が多い。
彦根の歴史の面影をすこし残している町並みで、10軒に1軒ぐらいの割合で、
自分の家専用の地蔵堂を守っているのだ。

このおばあさん、そのようなお地蔵さんの前にくると、
そのたびに、乳母車を止めると、ほんの2.3秒ではあるが、
両手をあわせて、きちんと拝んで行く。

でも、道の反対側にあるお地蔵さんとか、
すこし奥まった場所にあるお地蔵さんとかは無視。
目に付いた近くのお地蔵さんだけ、かならず、
まるで、友達に語りかけるようにして、拝んでいる。

毎朝の習慣で、家の人が守っているのだろう、
小さな祠だがどのお地蔵さんも、ほんとうによくお世話されている。

赤い前垂れ、カラフルなモザイク模様の座布団。
お猿さんが何匹もぶら下がっているような、飾り物。
赤白が斑になったカーネーション。黄色い菊。
おぶくさんに、湯飲みに入っている水。
なにかしら、なつかしく、あたたかい。

おばあさんは、わたしが後ろにいたのは、まったく気がつかなかった。
一度も、後ろは振り向かなかったから。
でも、わたしは、ゆっくり、ゆっくりとしたペースの、おばあさんのお地蔵さんに、
3個所付き合っていたら、思わず、会社を遅刻しそうになった。

おばあちゃんはともかく、他の人から見れば、わたしの行動は奇異に写ったことだろう。
それまでは、健康のためによいと聞いているので、
どちらかといえば、サッサと早足で歩いていたのに、
突然、用事もないのに、不自然なほどにゆっくりと歩き出したのであるから。

おばあさんの、この印象的なふるまい。
わたしたちが、とうの昔になくしてしまった、神仏とのいい付き合い方である。
おばあさんの時代の彦根の文化だったのだ。

わたしたちの世代には引き継がれることなく、断絶されてしまった文化だが、
自分の家のお地蔵さんの世話をするという文化だけは、
かろうじて、子供の時代にも伝えらるような気がした。



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sceneryの風景

最近ポルトガル語を週に一回習いに行っている。
彦根市が無料でポルトガル語教室を開いたのがきっかけである。
講師は、ブラジルから派遣された、日系の女性。

週に一回で、ポルトガル語が話せるようになるとは、
思っていない。でも、せめて挨拶ぐらいは自然にできるようになりたい。

この地方都市の彦根も、日本語の次に話されている外国語は、
英語ではなくてポルトガル語(ブラジル語)なのである。

仕事の関係で、外国の人に電話をかけることがあるが、
日本語が話せない、英語もわからないとなると、
まったくコミュニケーションがとれない。

せめて、挨拶ぐらい、「ボンジーヤ(おはよう)」
「ボアタージ(こんにちは)」「アテローゴ(さようなら)」など
ポルトガル語がつかえるようになりたい。

いまのところ、自由に言えるのはこの3つだけです。

これはまったくの偶然ですが、この9月にポルトガル旅行も計画しています。
まえから、本場でいちど「ファド」を聴いてみたかったのです。

そんな計画もあって、9月までに、ポルトガル語、
どれだけ習得できるでしょうね。
せめて、20〜30の片言ポルトガル語が
話せるようになればいいと思っています。



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