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            日常の風景   NO.0103
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二五八のビラ配り

「もうかりまっか」
「いやー、にごはちですわ」
というやりとりは、滋賀県だけの方言なのだろうか?

「二五八」というのは本来なら、「にごー、じゅう」の計算なのに「にごー、はち」
で、アバウトという意味である。
それほど、大もうけもしないかわりに、まぁ、損もしないという生き方。
だいたいとか、いい加減という意味で、特に、商売人がよく、使用する。

わたしは、サラリーマンだからあまり使うことはないが、
「にごはち」ということばを聞くのは好きである。
そのような気分が共感できるし、それに耳障りも、調子もよい。

滋賀県のY市で、「二五八まつり」が開催された。
我社も、その「二五八まつり」に便乗して、
システムのデモンストレーションをすることになったのである。

そのメンバーのひとりに駆り出されたわたしは、
会場で、「二五八」の意味を地元の人に聞いてみた。
当然、上記の方言となんらかの関係があるのだろうと考えていたのだが、
かって、二、五、八のついた日に、このあたりで、
定期市が開催されていたのにちなんでということで、きわめて、オーソドックスな理由である。

まつりは、メインロード1キロメートルほどを歩行者天国にして、
その両側にびっしりと縁日のような露店や、屋台が並ぶ。
アマチュアの、大規模なフリーマーケットがそれに続く。

何かの団体の、仮装行列のようなパフォーマンスも練り歩く。
その他、企業主催のデモンストレーション、新車の展示会とか、ガス器具の展示会などなど。
まるで、おもちゃ箱をぶちまけたようなにぎやかさで、人出はやたら多い。

しかしながら、我社のデモンストレーション会場はかなり分が悪かった。
メイン会場からすこし離れているのだ。
とりあえず、人を呼び込むために、ビラ配りをすることになった。

お世辞にも、品がよいとはいえない、まっ黄色のジャンバーを着せられ、
ビラを配り始めたのだが、これがなかなか難しい。
「あちらで、デモをしております、どうぞお立ち寄りください」と
いくら声をかけても、ほとんどの人から、誘いも、ビラも無視をされる。

そこで、いろいろと作戦を変えて、ためしてみた。
いちばん効果があったのが、受け取って当然という平然とした顔で、無表情のまま、
ぬっとビラを手元に突き出すのである。
これは、歩行者もぎょっと驚かされるのか、タイミングさえ合えば、反射的にビラは受け取ってくれる。

年齢でいえば、60歳を過ぎた女性。
いわるゆおばあさんといわれる女性は、目の前に出されたものは、ほぼ受け取ってくれた。
ビラを捌かせる効率はいいが、商売にはまったくならない。
どちらかといえば、50歳以下の人向けのシステムであり、デモなのである。

予想したより、人出は多かったが、ビラは大量に余った。
その処置にあたまを痛めていると、同僚が、ポケットテッシュのダンボールを一箱持参してきた。
デモの会場で配る予定のやつが、大分余っているらしい。

ノベルティのポケットテッシュとビラをセットにして渡すようになると、
ビラは面白いように捌けるようになった。

今まで、渡したくても絶対に渡せなかった、両手がふさがっている人。
子供を抱いているとか、両手に買い物の袋を携えている人とか、
乳母車を押している人とか、両ポケットに手を突っ込んで歩いている人など。
テッシュペーパーを一緒に、ふさがった手元に持ってゆくと、
ポケットから手が出てきたり、指だけが開いて受け取ってくれるのである。

立ち止まって、ビラが配られるのを待っていてくれる人さえいる。
テッシュペーパの効果がこんなにも絶大なものだとは知らなかった。



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sceneryの風景

みなさんは、町でビラを手渡されたら、
「ありがとう」といって気持ちよく受け取ってくださいね。
みじめな気分でビラ配りをしている人にとっては、ほんとうにうれしく響くのですから。


「二五八まつり」の情報は以下のURLにあります。
http://www.bcap.co.jp/yokaichi-kanko/event/akimaturi.html


この間、高校時代の友人の母親が亡くなったという連絡があった。
前から、いつなんどきかわからないというような内容のメールを、
ときどきやりとりしていたので、そのニュース自体は特段驚きもしなかった。

でも、お通夜とかお葬式を知らせるために、
久しぶりに、数人の同級生と連絡を取ってみた。

そうしたら、こちらのほうがニュースだった。
いいニュースではなく、悪いニュース。

本人が、この間まで、入院していたとか、
あいつが、胃がんで今入院しているとか、
奥さんが、白血病で倒れたとか。

昔なら、久しぶりに電話をすると、近況をお互いに話すだけで、
学生時代の雰囲気にすぐに戻って話が弾んだものだが、
この深刻な気分はどうしようもない。
みんな、この年になると、便りなきが、よき便りともいっていられない。



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