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　　　　　　　　　　　　日常の風景　　　NO.0117
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花粉症の気分

最初は風邪だと思った。
ひどい風邪だと思ったのである。
夜になると、咳が止まらないし、その所為で、眠れない。

眠れないから、夜中のうしみつどきに、ひどい咳をしながら、
パソコンに向かい、何とか咳が止まるいい方法がないかと、
インターネットで血眼になりながら検索している。
我ながら、鬼気迫る孤独な姿だと、自嘲していた。

あまりにも風邪の治りが遅く、長引くので、
医院の門も２軒たたいた。
確かに風邪もひいていたのだが、花粉症も併発していたのである。

わたしの友人も、花粉症が多い。
今までは、わたしだけは花粉症とは無縁だった。
友人のマスク姿を見て「大変やね」と声はかけていたが、
どこかひとごとであった。

両まぶたがはれぼったくて、目のかゆみが止まらない。
咳、くしゃみ、鼻水。
こんな症状は、それほど大した問題ではなかった。

いちばんの問題は、脳に薄い薄いベールでもかけられたような感じが、
際限なく続いたということである。
頭が痛いのでもない。重いというのでもない。
現実との距離がうまく計れないともいえる、不思議な違和感である。

日常生活において、意識的に何かをしようと思えば、
ある種の充電作業が常に必要とされる。
気力の充電とでも表現すべき種類のあるものである。
普段はもちろん意識はしていないのだが、花粉症になって初めてわかった。

ベールに包まれたような状態は、肉体的には大した苦痛ではない。
だが、このベール、電気の世界でいえば超良導体で、
プラスとマエナスをショートさせてしまう。
つまり、気力が、充電状態にはならないのである。
すべてのことにやる気が失せてしまう。

最初に失せたのが、モノを書くという行為。
そして、次が活字を読むという行為。
比較的苦痛ではなかったのが、映像を見るということ。
いちばん楽にたのしめたのが、音楽を聴くということ。
結局上から順に、エネルギーの消費量が高いということなのだろう。

花粉症の気分は、書くことがわたしの生活にとって
どれほど大切な行為になっているかをあらためて示してくれた。
鬱々とした気分のなかにそのまま沈み込んでしまうのではなく、
多少でも抜け出すことができたのは、モノを書いていたからだと思う。

「書くという行為は、自己のなかに他人の目を持つことである」
というような意味のことを誰かが書いていたが、
どのような苦しい状況のときでも、自己のなかの他人からみれば、
得がたい体験であり、どこか滑稽でさえある。



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ｓｃｅｎｅｒｙの風景

彦根のさくらは今が満開です。
花粉症にもかかわらず、もう２度もお花見にゆきました。
ついつい飲んでしまうのですが、お酒はやはり花粉症にはよくありません。

いちばん楽しかったのが、昔の文芸仲間と京都でしたお花見です。
仲間がとってくれた写真ですが、勝手に使わせていただきます。

http://www.geocities.jp/mshigeyoshi/hanami/0504hanami.htm

白いチョッキを着ているのが「日常の風景」の作者です。
みんなそれぞれ年を重ねましたが、昔から文芸誌をいっしょに
創ってきた、素敵な仲間です。
ついでに掲示板ものぞいてみてください。



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