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            日常の風景   NO.0120
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マスクの気分

わたしが小学校の時代に、クラスでマスクをするのがはやったことがある。
最初に風邪がはやった。
先生にマスクをするようにやかましくいわれ、
いつしか、マスクそのものがはやりになった。

本格的にマスクをつけたのは、多分そのとき以来だと思う。
夜中に咳がどうしても止まらなかったので、ネットで調べたところ、
マスクをしたまま眠ると、すこしはマシになると書いてあった。
早速、オーソドックスな昔のガーゼのマスクを買った。

しかし、ガーゼのマスクは、息苦しかった。
口のまわりも、息で熱っぽくなり不快だった。
だが、風邪だけではなく、花粉症も併発しているとわかってからは、
日中でもマスクをつける必要にせまられたのである。

ドラッグストアにマスクを買いに走って驚いた。
花粉症の特売コーナがあり、
おどろくほど多様なマスクが、何十種類も販売されている。

適当に、そのなかのひとつを選んだ。
昔のものより、デザインがよく、口にぴったりフィットする。
口とマスクの間に、空間ができるため、熱っぽくなく、息がしやすい。
それでいて、使い捨てだから、いつも清潔である。

マスクをつけるのは、わずらわしくて、うっとうしいのだが、
決してマエナスばかりではない。
注意深く観察すると、いろいろとおもしろい現象が見える。

唐突に、幼い日々のことが、頭によぎる回数が多くなった。
わたしが幼稚園の頃の、祖母や母親の姿。
何でもない日常の会話の断片。
口のまわりに、いつもやわらかいものがあたっている状態なので、
この現象は、マスクをつけたことと多分関係がある。

マスクをつけるということは、
あきらかに、ハンディキャップがあることを世間にさらしていることになる。
こころもち、社会の同情が集まる。
当たりがみんな柔らかくなる。

素顔が隠せる。
西欧の習慣でいえば、プチ仮面舞踏会のような気分。
いつもの自分と違う人格に変身とまではゆかないが、
確かに、対面して話すときの距離感とか、微妙に違うふるまい。

それに、薄いマスクであっても、
物理的に保護されているという安心感も感じた。
口の回りが適度にあたたかいのも、それほど悪い感じではない。

わたしが思うのに、そのうち、
きっとマスク依存症という人が現れるのではないだろうか。



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sceneryの風景

医者に行って正式に調べてもらった訳ではありませんが、
わたしの花粉症は杉花粉だったと思います。
杉花粉の時期が去りますと、ウソのように楽になりました。

もう、マスクともさようならです。
できれば、来年以後もお別れの状態を続けたいのですが・・・

JRの引き起こした事故は悲惨な事故でしたね。
事故車両に偶然乗り合わせていた、ふたりのJR職員が、
修羅場を振り返ることもなく、職場に急いだということです。

上司に携帯で報告をしているのですから、
ふたりの職員だけを責めるのは、酷なことかもしれません。

ですが、職員も上司も、同じような行動、判断をしたのですから、
これは偶然ではなく、JR西日本に決定的な何かが、
欠落しているとしかいいようがありませんね。

その点、事故現場付近の住民、市民の行動は立派でした。

150人ほどの工場では、直ちに操業を停止し、
全員が救助に向かいました。怪我人が運び込まれる場所も提供しました。

近くの市場の責任者のとった行動も見事でした。
「なんにも考えんでもええ、必要と思われるものは、全部持ち出したらええ」
と、職員を指揮して、飲料水、タオル、毛布などを現場に届けています。

救急車が間に合わないので、
運送会社では、トラックを提供して、怪我人を8人も9人も
大量に病院に搬送しました。

そのほか、一般の市民もマイカーを出して、病院に運びました。

救助された人の話も、みんなが、頑張れ、あとすこしと
声をかけ続けてくれたのが、ほんとうに心強かったと感謝していました。

まだ、顔に包帯を巻いて、目の周りにどす黒いクマができている、
中年の女性は、
市民が、はさまれて動けない自分を助けようと、
必死で作業を続けている人の汗が、自分の顔にぽたぽたと落ちてきたと
証言していました。
「必死で、助けようとしていてくれるんだと嬉しかった」
彼女のコメントを聞いて、わたしは目の奥が熱くなってきました。

庶民ってすばらしい。
庶民はまだまだ信じられると感じました。

ですが、これは事故のあくる日に新幹線に乗った人の話です。
又聞きですから、事実かどうかわかりません。

新幹線の1両目は、2.3人しか座る人がいなくて、
ガラガラだったそうです。
他の車両は、立っている人までいたのに。

極端に振れすぎる。
これが、日本の庶民の最大の欠点ですね。
近辺のアジアの人々が、日本を心の奥底で怖がっているのは、
日本人のこのような気質です。

だからこそ、日本人の暴走を抑える安全弁として、
たとえ現実には合っていなくても、
憲法9条のような、理想を高く掲げる必要があるのだと思うのですが、
いかがでしょう?

わたしなら、空いていれば、1両目に乗りますね。
今のJRほど安全な乗り物は世界にありません。
もし、1両目を避けるほど、安全に敏感な人がおられましたら、
2.3年経ってから思い出したほうがいいのではないでしょうか?



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