*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*
            日常の風景   NO.0127
*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*

飛行機雲

廊下の窓から顔をのぞかせると、気持ちのいい風がそよいでいる。
風というよりは、ごくかすかに空気がうごいている。

わずかな空気の動きだが、その風は、わたしのワイシャツをくぐり、
アンダーシャツを楽々と通り抜け、
しごとで火照ったわたしの体をさましてくれた。

目の前には、青空を背景に、
緑の木の葉の群れに持ち上げられるようにして、
彦根城がそびえている。

空を見上げると、巨大な白い飛行機雲が見えた。
ジェット機が空に描く飛行機雲ではなく、
ふんわりとしたボリュームのある、文字通りの、飛行機の形をした雲である。

機首と胴体は申し分がない。
角度も、これから空に向かって飛び立とうとしていて、躍動的である。

胴体にクロスして、堂々とした主翼が左右に伸びている。
尾翼のあたりは、綿飴のようにひとかたまりになっていたが、
尾翼をイメージして切り取るには、充分な雲だった。

飛行機雲の下を、大きな白い鳥が、たった一羽だけ、
悠然と翼を羽ばたかせながら、横切ってゆく。

近くにある幼稚園から、先生が吹いているのだろうか、
ピッピッピッという笛の音が、鋭くリズミカルに聞こえてきた。
それに続いて子供達の歓声がどっとあがる。

耳を澄ませば、自動車の騒音に混じって、
さまざまな生活のざわめきが潮騒のように聞こえてくる。

2週間近くの長旅を終えたばかりで、まだ芯の疲れは残っていたが、
充分な睡眠をとった、その翌日の風景だったので、
城を眺めながら、つくづくと日本のふるさとはいいものだと思った。



----------------------------------------------------------------------
sceneryの風景

無事に旅から帰ってきました。
旅から帰るたびに思うのですが、旅の目的のひとつは、
日常生活のありがたさを再確認するためにあるのかも知れません。

我が家、家族、布団、日本食、そして日本語、仕事さえもありがたいものです。

プラハで3泊、ブダペストで3泊、ウィーンで3泊しました。
安売りの航空券のおかげで、クアランプールでも1日観光ができました。

旅の話は、観光ではない、旅の日常を次号以下に何か書くつもりです。

今回、中部国際空港をはじめて利用しました。
彦根は関西圏ですので、なかなか岐阜とか名古屋には足は向かないのですが、
こと、空港においては、関空よりは、中部の方が、
距離的にも近いですし、空港の機能もコンパクトで、
関空よりはずっと便利だと感じました。



----------------------------------------------------------------------
発行者 scenery
north@arion.ocn.ne.jp
HP 日常の風景
http://www6.ocn.ne.jp/~scenery/

----------------------------------------------------------------------
このメールマガジンは、

『めろんぱん』 (マガジンID: 2179) http://www.melonpan.net/
『メルマ』  (マガジンID: 50779) http://www.melma.com/
『まぐまぐ』 (マガジンID: 79888)   http://www.mag2.com/
『メルマガ天国』 (マガジンID: 8289)   http://melten.com/
『E-Magazine』 (マガジンID: scenery1) http://melten.com/
『Ransta』 (マガジンID: 2403) http://ransta.jp/
『カプライト』 (マガジンID: 4327) http://kapu.biglobe.ne.jp/

を利用して発行しています。

----------------------------------------------------------------------
メールマガジンの退会・解除は
http://www6.ocn.ne.jp/~scenery/  からお願いします
----------------------------------------------------------------------