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            日常の風景   NO.0142
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退職初日

2階にあるわたしの部屋の前は2畳ぐらいの踊り場になっている。
通りに面している擦りガラス越しに朝陽が降り注ぎ、
床のフローリングの木目に様々な陰影をつけている。

そのフローリングに座布団を一枚持ってきて座った。
目の前には、昨日会社から持ち帰ってきたものが山積みになっている。

退職が決まれば、職場の机、すこしずつ整理をするのが普通だろうが、
わたしの場合は、アクシデントがあり、3月31日の最終日まで会社に行かず、
わずか数時間で、机、ロッカーを空っぽにする必要があった。

わたしの部屋のドアを開けっ放しにして、
モーツアルトの曲を流した。

今年はモーツアルト生誕250年ということで、
NHKでも「毎日モーツアルト」という番組を特集している。
若い頃は、モーツアルトは曲がきれいすぎて、なめらかすぎて、
嫌いではなかったが、大好きな作曲家ではなかった。

でも、朝陽のひかりとぬくもりを感じながら、
退職の整理をするのには、モーツアルトほど似合う音楽は他にはない。

モーツアルトに助けられて、退職の整理は小気味いいほどのピッチで進んだ。
ファイリングボックスに整理してある様々なファイルは、
ぱらぱらと見ては、捨て、見ては、捨て、の単純な繰り返し作業である。

退職後も必要な書類は、ほんの一握りしかなかった。
友人からの手紙や葉書など、なつかしいものも出てきたが、
もう一度だけ読み返して、すべて捨てた。

「シンプル」ということを退職後の生活の目標のひとつにしている。
退職初日。悪くないでだしである。



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sceneryの風景

サラリーマン生活は、3月31日で終了しました。
この日常の風景のモチーフも多分これから変化するのだろうと思います。

歩いて通勤という、メインフィールドが消滅してしまうのです。
モノを見る目も、現役のときと、リタイアしてからとでは
ずいぶんと変わってゆくのだろうと思います。

手探りで、これからに第二の人生を見つめてゆくつもりです。



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