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            日常の風景   NO.0215
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株への投資再開

ここ2週間ほど、株式市場は信じられないほどの乱高下を繰り返している。
このような激変する環境のなかで、再び株式に投資する決意をした。

10年ほど前にもわたしは株式に投資していた。
300万円ぐらいの資金で、多分20銘柄近くの株を持っていたとおもう。
ということは、すべての株が150円前後の低位株、いわゆるボロ株である。
事実購入してすぐに、会社が倒産して株券が紙くずになったこともあった。

前に株を購入したときも、日経平均株価は1万円を割っていた。
必ず、時間が経過すれば、株価は戻ると信じて次々と買っていった。

事実、その後日本経済はなんとか立ち直りを見せ、
日経平均株価が1万2千円を超えたとき、手持ちのすべての株を売却した。
株は、買い始める時よりも、売却するときが難しいと肝に銘じていたので、
売るときは全部売って、株式投資からは完全に手を引くと堅く決めていたのである。
わずかであるが70万円から80万円の利益がでた。

しかし、あのまま後、1年と半年間持ち続けていれば、
利益はなんと800万円になっていたし、
欲張って、現在まで持ち続けていれば、元の黙阿弥でマエナスになっていた。
リスクを取るということは、わずか300万円の資本でも、
これだけの浮き沈みがあるということを、身をもって経験した。

わたしはもう再び、株式投資をすることはないと思っていた。
だが、今回の世界的な金融危機で、日経平均株価が1万円を再び割り込んだとき、
天の啓示のように、再び株を購入してみようとふと思ったのである。
これが天使のささやきであったのか、悪魔の誘惑であったのかはまだわからない。

資金は退職後、旅行用にと残しておいた、100万円をとりくずした。
もちろん、奥さんの了解をとりつけてのことである。
我が家にとっては大金であるが、奥さんはあっさりと了承してくれた。

急遽、会社四季報やら、経済特集の雑誌などを購入して研究を始めた。
わたしは、かなりいい加減なタイプの人間なのだが、
ここというときには、割合に集中力が発揮できる方なのである。

今回も、リスク分散のため、5社以上の異なった業種の会社を購入することにした。
一度購入すれば、そのまま長く持ち続けるつもりなので、
低位株で、8%から10%の配当を続けている会社。

もっとも大切なことは、その会社がつぶれないことである。
わかる範囲で、財務状況にも注目して勉強した。
夜遅くまで、久しぶりに受験生に返ったようなつもりで集中した。
奇妙に充実した時間が持てた。

この、慎重に勉強した時間が、極めて貴重なラッキーな時間になった。
購入する銘柄を比較検討している1週間に、日経平均は
あれよあれよという間に8千円になっていったのである。

結局、具体的に購入できたのは、日経平均で8千円前後のとき。
購入したその日に早速ディスプレイ上で9万円程の利益が出たが、
あまり日を置かずに、20万円近くの損失がでた。
何しろ日経平均が瞬間だったが7千円を割り込んだのである。

あれだけ勉強して、銘柄を選んだのだから、もうこれからは、
日々の株価の上下に、一喜一憂することはない。
もうこれ以上購入するつもりもないので、四季報などの資料はすべて整理した。

時間はかかるのだろうが、いつか世界的にも経済が立ち直って、
再び、購入した株券が旅行の費用に還元できる日が来ることを信じている。



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sceneryの風景

行きつけの飲み屋での雑談なのだが、
株式投資に興味のない人は、今回の株価大暴落をまったく人ごとのように
考えている人がほとんどである。

だが、とんでもない思い違いである。
銀行に預金して、利子がつくのが当たり前と考えている人も多い。

経済人がリスクを果敢に取って、経済を回しているから、
いわゆる利子や配当が出てくるのである。

預貯金はいうに及ばず、年金にしても保険にしても、
ほとんどは何かに投資されている。リスクのない投資なぞというものはない。
たとえそれが国債であったとしても、当然リスクは伴う。
国や銀行にさえ預けておけば安心というものでもない。

現にアイスランドは、破綻寸前で、
預金封鎖という非常事態まで、もう風前のともしびのような気がする。

10年前に株式投資をしていたときと、今とでは、まったく感覚が違う。
当時は、証券会社に電話をして「この銘柄とこの銘柄いくらになったら買ってください」
というアナログの世界だった。

今はオンライントレードである。
自宅に居ながら、パソコンで、売買ができる。
自己資金の大金を扱っているのに、まるでバーチャルなゲーム感覚なのである。

電話での世界とは違い、ディスプレイに刻々変化する売買の状況が表示され、
気が変われば、1日に何度でも指値を変更することができる。
朝、株を買って、夜には売却するというようなことも簡単にできる。

パソコンにいくらで買って、いくらで売るというデータさえ入力しておけば、
パソコンはその通りに実行するので、スリルのあるゲームでさえある。
このゲームにはまり、破滅してゆく若者の実感もわかった。



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