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            日常の風景   NO.0216
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数独で遊ぶ

数独というゲームを御存知でしょうか?
正式にはナンバープレースと呼ばれることも多い。
新聞紙上などでは、毎日ほど問題が掲載されているので、
一種のブームと呼べるのかも知れない。

ルールは簡単である。
縦に9ブロック、横にも9ブロックの正方形のマスに、
3ブロック×3ブロックが太い線でぐぎられている。
すなわち3ブロック×3ブロックのマスが9つできるわけになる。

縦・横の各9列及び、太線で囲まれた3×3のブロックには、
1〜9までの数字が入り、どの囲いも重複は許されない。
このわずか3つのルールだけで、与えられた問題を解いてゆくのだが、
やりはじめると初級から中級、上級まで非常に奥の深いパズルなのである。

月曜日は近所の宅老所にボランティアに出かけている。
自宅を開放してのボランティアなので、ユーザーが10人足らず、
スタッフも5人しかいないこじんまりとしたグループである。

この宅老所に誰かが、やさしい数独の問題をプリントして持ってきた。
ルールを説明して、鉛筆で問題の空白を埋めてもらう。
老人向けのあたまの体操にはうってつけだと思った。

しかし、この試みはほぼ失敗した。
分からないという人も多かったし、集中できずにすぐに退屈してしまって、
ぐずくずとした終り方になってしまった。

でもボランティアのなかには、わたしにはとても真似が出来ないすごい人がいる。
次の週に、誰にたのまれたわけでもないのに、自分で数独のボードを自作して、
ナンバーカードをそのボードにつりさげられるようにして持ってきたのである。

早速ためしてみると、紙に書いてちまちまと数字を埋めていたのに比べて、
全員の目で、中央に吊り下げられたボードの問題に取り組むのは
比較にならないほどの盛り上がりを見せたのである。

ゲームの最初は、埋めるべき数字の空白が多く、なかなかやっかいなので、
スタッフも積極的に意見をいう。
徐々に数字が埋まってくると、手がかりが多くなって、
老人のユーザーからも声が出始める、その場に熱気がうねる。

1〜9までの数字のうち7つぐらいまで埋まると、残りはふたつ。
こんなときはできるだけ、数字の苦手な人に声をかけて答えてもらう。
解答ができれば、
「すごい」「正解」「冴えてますね」などと徹底的にほめる。
おそらく、ほめることがゲームを盛り上げるコツである。

単純なゲームだが、シンプルであればあるほどみんなでやるゲームは楽しい。

1日の活動が終わったので、数独のボードをかたずけようとしたら、
日曜大工の店で買ってきたのだろう、ボードの裏に値札がまだ張り付けてあった。
890円。

このボードを自宅でひとり、こつこつと製作したOさん。
だれよりも元気で、ボランティアガイドをはじめ、いろいろな活動をされているのだが、
実際はもう70歳を超えておられる。

会計担当のわたしからOさんに、
「手間賃までは出せませんが、これ材料代だけ受け取ってください」と
千円渡すと、
最初は固辞されていたのだが、最後には照れくさそうに受け取ってくれた。



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sceneryの風景

今年の3月までは、もっと大きな宅老所のグループに所属していた。
ユーザーの老人は20人ぐらい。スタッフも15人以上いただろうと思う。

だが、いろいろあって残念ながら解散の憂き目を見た。
善意のボランティアの団体であっても、
大きな団体になると、やはり意見の違いとか、ローテーションの割り振りとか、
それぞれの仲のいいグループに分かれるとかいろいろあって、
ボランティア活動の組織を長期に渡ってそれなりにまとめて行くのは難しい。

しかし、この失敗が幸いしたとでもいうのか、
折角点ったボランティアの火を消すことなく、よりコンパクトにまとまった、
あたらしいグループを立ち上げることができた。

自宅を開放してくれた家庭にも頭が下がります。
70歳を超えているのに、料理が得意だからと、
ずっとメインの炊事当番を引き受けてくれている人にも感謝です。

自分の労力だけではなく、立ち上げ時の費用にと
ポンと10万円もの資金を寄贈してくれた人も、わたしには真似ができません。
それに今回のOさんのような人もいます。

わたしにできることは、現役時代にプログラマーを10年ほどしていたので、
パソコンを扱うのは得意です。
だから、彦根市へ提出する補助金の申請書類は全部わたしが引き受けました。

地域のボランティアグループの形態とすれば、ある面では理想的です。
元気な老人が、手助けを必要とする老人のお世話をする。
それも、ちいさなコンパクトなグループだから、
会議などを招集しなくても、物事はすぐに決まって、前に進みます。

地域社会にこのようなちいさなグループが数多くできればいいのにね。



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