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            日常の風景   NO.0203
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出版記念会2

なじみの店のマスターが
「次の日曜日、5時前に店の前に来て欲しい」といった。
薄々は聞かされていたのだが「日常の風景」の出版記念会をしてくれるらしい。

約束通り5時前に店の前に行くと、8人乗りのワゴン車が待っていた。
運転手はマスターである。
車内には、女将さんとお店のお客がふたり乗っていた。

車は走り出したが、どこに行くのか、何人が集まるのか、
何も聞かされていなかったので、
まるでミステリートレインにでも乗っているような気分である。
車が着いた先は、彦根では有名なちゃんこ料理の店だった。

集まってくれた人数は全部で11名。
本を贈呈したメンバーに加えて、贈呈していない人もひとり来てくれた。
もちろん顔見知りではある。
忘れずに、次に店に飲みに行くときは、贈呈しなくては。

公務員のIさんが最初に挨拶をしてくれた。
わたしの本を小説も含めてすべて読んでくれていて、
本の感想をからめて、あたたかいコメントをくれた。
感動したといってくれた。

随筆の数を数えてみると、全部で108あったとも話された。
人間の煩悩が108あるという話から、
わたしの小説のテーマにからめた、嫁と姑の確執にいたるまで、
さすが公務員の管理職である。うまい上に、心のこもった挨拶だった。

随筆の数はわたしも意識して数えたことはなかった。
へぇー、108と新発見があったようで嬉しかった。

店でときどき一緒になる、中学時代の幼馴染が、乾杯の音頭をとってくれた。
大きなアジサイの鉢植えをお祝いにもらった。
ブルースカイという品種で中央部に白い雲のような小花がふんわりと密生しており、
その外側を目の覚めるようなブルーの花弁が取り巻いている。

ホームページや本の表紙にも使ったが、青空と白い雲というのが、
「日常の風景」の秘められたサブテーマでもある。
多分、いろいろと考え抜いて、このプレゼントを選んでくれたに違いない。
あざやかなブルーが目と心にまぶしく、あたたかかった。

わたしも含めて、みんなこのようなことには慣れていない。
結局わたしがお祝いの言葉を受けただけで、
飲み会が始まってしまうと、わたしがお礼を述べる機会は、正式にはなかった。

今までに何度か文学仲間の出版記念会に出席したことがあるが、
このような、生活に密着した雰囲気の会は初めての経験である。
なじみの店のみんなに、心から感謝している。



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sceneryの風景

前回の日常の風景202号で、
 「出版記念会をぜひやろうや」なんて景気のいい話もでたが、
  酔っぱらいのその場限りの話だけで、具体化することはまずないと思う。
と書いてしまったが、まず、店のみんなに謝らなくてはなりません。

しかし、不思議な飲み屋でしょう。
共通点は、その店に集まって、お寿司や刺身をつっつきながら、
ワイ談や雑談をし、たまには庶民の立場から政治の不満をぶつけ合う。
ただそれだけの関係である。

どこに住んでいるのか、どんな家族構成なのかもぼんやりとしか知らない。
このような素敵な店の雰囲気をつくりあげたのは、
やはり、マスターと女将さんの、あたたかい人柄です。

出版記念会のあくる日に、挨拶をしてくれたIさんから、電話があった。
念のために家に帰って、もう一度数えなおしてみたら、
108ではなく109あったというのである。
わたしが、この話を書くと言っていたので、連絡をくれたのだと思う。
このような誠意もほんとうに嬉しい。

出版記念会は、昔からの文学仲間も計画してくれているるし、
小学校、中学校時代の幼馴染。それにボランティアの仲間も。
わずか300部を本にしただけなのだが、
恵まれて産まれ、祝福された本だと、ほんとうに感謝しています。



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