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            日常の風景   NO.0236
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雨と追憶

屋根が小さなハンマーか何かで、強くたたかれているような音がしたので、
目が覚めた。時計を見ると4時だった。
隣のベッドで眠っている相棒も、目を覚ましていた。

今までに聞いたことの無いような激しい雨音なのである。
本能的な恐怖さえ覚えるほどの、滝のような激しさである。
ところがしばらく続くと、嘘のようにパタンと止んでしまう。

そしてまた、激しく降る。止む。降る。止む。
間違いなく、小さな地域に限定された集中豪雨である。
かつて経験したことのない熱帯地方の雨の降り方である。

朝になっても、夜中の雨の余韻はまだ続いていたが、
風もなく普段降る雨の表情に戻っていた。

雨のなか、傘をさし自転車で彦根駅に向かう。
慣れたいつもの道だが、ペダルを漕ぎながら、
片手で傘を支えるのに精いっぱいで、回りを見る余裕がない。

小雨のなか、歩いてるのなら、雨の情緒も感じられるのだが、
かなりの降りで、不安定な自転車となれば、
街は、灰色一色のモノクロ写真のような印象になる。

ところが、そのモノクロの世界に突然まばゆいような光が差し込んだ。
いつもなら、古ぼけたシャッターが下ろされただけの、
変哲もないガレージだった場所に、明かりが灯され、青々としたゴザが敷かれ、
提灯がつるされ、なかに3人の女性がいた。

そういえば地蔵盆の季節なのだ。
子供たちはまだ顔を見せていないから、女性たちは準備にきているのだろう。

女性といっても、わたしと同じぐらいの年齢で、
老齢期にさしかかったというところだろうか。
ひとりは、ガレージの入口に立って、外の雨の風景を見ている。

わたしの姿も、雨の風景の点描画のひとつとして映っているのだろう。
彼女はあどけなく、無防備で、無邪気な子供のようにただひたすら
雨をポカンと見続けていた。

ガレージの中央で座り込んで話してる、残りのふたりも、
子供のような膝のくずし方で、まるで3人の子供がいるようだった。
間違いなく3人は、子供時代のなつかしい地蔵盆の日に還っている。

わたしは、自転車のペダルを踏みながら、あの3人の子供のなかに、
わたしも子供の気分で参加していた。

地蔵盆は、夏休み最後のイベントだった。
毎日のように夢中で泳ぎ回っていた水泳にもあまり行かなくなり、
「夏の友」という宿題帳がまだほとんど空白だった。

あせりがあり、夏の終わりの哀愁や寂寞のような感情も生まれつつある頃の地蔵盆。
トランプをしたり、カロムをしたり、鬼ごっこをしたり、
お供え物のスイカをみんなで食べたり、夜には幻燈を見たこともあった。
とにかく、すべてを忘れて目一杯、思い切り遊んだという印象がある。

彦根駅についた頃は、ハンドルを持っていた、
左手の長袖シャツがぐっしょりと濡れていた。

だが、奇妙なことにすこしも不快ではなかった。
子供の頃、雨に濡れるのをすこしも気にしなかったようにね。



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sceneryの風景

8月30日は旅行を計画しているので、
不在者投票に市役所にでかけました。

もちろん、民主党に投票しました。
最高裁判事はまったく何も知らないので、すべて×にしました。
判らないときは、とりあえず、無条件では信任しませんよという方が、
普通の投票行動だとわたしは思います。(多分少数派でしょうがね)

それにしても新聞が、民主党320議席〜330議席なんて書かれると、
ほんまかいなと思いません?
新聞やテレビの陰謀かも知れません。
この報道によって、日本人のバランス感覚が働き、
かなりの票が自民党にもどるような気がします。

政権交代しても、多分政治はうまく行かないでしょう。
問題が多すぎます。
一番の問題は、わたしたち国民です。

政権交代の意味はなにより、既成の政治家に、今までの失政の責任を取らせるということです。
そうすれば、今までの利権とか、政治的なしがらみなどが払しょくされ、
すこしは風通しがよくなるでしょう。

世代交代をする。風通しをよくするというのはほんとうに大切なことです。
むやみに官僚の天下りに目くじらを立てないでください。
行きすぎはもちろんいけませんが、ある程度は仕方がないことです。

高級官僚は、たとえまだ50歳になっていなくても、
自分の同期のひとりが政務次官という最高ポストに上り詰めたら、
その時点で、同期全員が一斉に退職するという慣例になっているのです。

どちらかといえば、いさぎのよい、世代交代がはかれる、風通しのよいシステムなのです。

もし民主党に政権が移動しても、国民がすぐに結果を求める限り、
立ち行かなくなるのは目に見えています。
疲弊しきった「自民党」を壊すことに意味があったのだと、長い目で見て欲しいと思います。



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