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            日常の風景   NO.0253
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地下のコーヒー店

行きつけのコーヒーショップは大阪の地下街にある。
人混みであふれている通路の足元にはめ込まれている大きな透明のガラス。
ガラス越しに、ちょっと腰をかがめて中を覗き込む。

地下街の地下にある、いつも座るわたしの席が空いているかどうかの確認である。
土曜日の午前中ならほとんどの日がわたしの指定席となる。

一階と地下に客席があり、合計すると50人以上は楽に収容できる大型店。
入口の自動販売機でチケットを購入し、
カウンターに持ってゆくとすぐに出してくれるコーヒーの値段は230円と、
きわめて大衆的なコーヒーショップなのだが、味は悪くない。

コーヒーがこぼれないように、両手でトレイを持ちながら、
慎重な足取りで、地下に続いている階段を下りる。
地下にあるパーラーだが、意外に明るい。
半地下のような作りで、見上げれば地下街を行き来する人々がよく見える。

わたしのお気に入りの席は、隅のコーナー席である。
そこに座ると、歩く人々だけではなく、パーラー全体が見渡せる。
都会の雑踏、喧騒から遮断され、いつもクラッシックの音楽が静かに流れている。
比較的モーツアルトが多いが、ショパンやシューマンのピアノ曲のときもある。

一階にある店に比べて、地下のルームにまで下りてくる人の数は少ない。
ただ、なんとなく時間つぶしにコーヒーでもという人は地下には来ない。

傾向として多いのは、圧倒的にカップル。
地下の店、土曜日の午前中のカップル。
なんとなく訳有りそうな雰囲気が漂っているときが多いように感じられるが、
これはわたしの考えすぎで、まあ、どうでもいい話である。

客観的にみれば、わたしが愛用している席が特等席なのであるが、
いつも席が空いているのには、理由がある。
地下街を行き来する人がよく見えるということは、逆に見られるということでもある。
だから、カップルには適していない。訳有りならなおさらである。

他にも、煙草は吸いたいが、人前ではあまり吸いたくない妙齢の女性とか、
明らかに仕事をサボって休憩している営業マンとか、
定年後、家に居場所が無くなったので、仕方なく文庫本を片手に、
退屈そうに本を読む人とかがいて、
人工的な明るさでモノトーンに染まった一階の店の雰囲気とはかなり異なっている。

コーヒーを飲みながら、それとなく観察し、想像し、
わたし自身もちょっと妖しい、ちょっと隠微な、都会の湿った空気の中に、
すっかり溶け込んでいる。このような場所がわたしの体質には合っているのである。

一段落すると、わたしは鞄から、最近オークションで格安で手に入れた、
新しいアイテムを取り出す。ノートパソコンである。
今回の風景は、このあたらしいわたしのおもちゃについて書くつもりで書き始めたのだが、
長くなりそうなので、パソコンのことは次の号で。



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sceneryの風景

わたしが新しく手に入れたノートパソコンはソニーのバイオ。
この新しいアイテムが、わたしの日常にかなりの変化をもたらした。

サイズは、A4よりは小さくて、B5よりは大きい。
重さはバッテリーを含めて1キログラム強。
鞄に入れて持ち歩くのにはぴったしである。

正式の名前は
SONY VAIO VGN-TX92PS

OSはXPで、かなりの型遅れだが、使うのにはなんの問題もない。
ハードディスクは80Gあるし、液晶のサイズも11.1ワイド。
CPU1.2GHz、RAMも1G内臓で、
映像を見るのにもなんの差し支えもない。

DVDやCDを見たり聞いたりでき、ワンセグのテレビまでが見られる
すぐれものである。
オークションで落札したので、バッテリーを心配したが、5時間近くは保ってくれる。

ネットオークションも随分と楽に落札できるようになった。
昔のように、入札終了の時間をチェックして、その時間に(深夜のときが多い)
必死で競らなくても、有料ではあるが、オークション用のソフトがある。

この商品にいくらまでなら出せるという金額をセットしておくと、
5分前から、パソコンが勝手にオークションに参加してくれる。
朝起きたとき、考えていた価格より安く落札できていたときは格別嬉しい。



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発行者 scenery
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HP 日常の風景
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