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日常の風景 NO.0259
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緑のアーチ
「まるで梅雨のような雨やね」とつぶやけば、
しとしとと一日中小雨が降り続くイメージが当然思い浮かぶ。
しかし、最近の梅雨は地球温暖化の影響を強く受けているのだろう、
熱帯の雨季の様子に近くなっている。
スコールである。集中して豪雨が降る。
本来の梅雨の雨は、雨音などかすかにしか聞こえなかったし、
蒸し暑くて、寝苦しい夜なども、
そのかすかな雨音が、睡眠へといざなうリズムにさえなった。
だが、最近は熟睡中の夜中でも激しい雨音にたたき起される。
こんなことは若いころの梅雨にはほとんどなかった。
と、書きながらふと思った。
若いころなら、多少の雨音では目は覚めなかったはずである。
梅雨の様子も確かに変わったが、
それ以上に老化という変化の方が大きいのかもしれない。
土曜日なので、いつものように自転車で彦根駅をめざす。
ルール違反なのは承知しているが、小雨のなかでの傘差し運転である。
彦根城の裾野は、爆発的な緑に満ちていた。
どのような降り方であっても雨は植物をいきいきとさせる。
角度によっては、緑に隠されて、いつもは城が見える場所から城が完全に消えている。
緑の葉っぱに取り囲まれた彦根城が、天空に持ちあげられているようにも見える。
天空だけではなく、雨に濡れたいつもの遊歩道も、堀端の桜は
着膨れしたように、緑でずんぐりと太り、歩道を狭めている。
道路との境界線に植えられている、白い小花を無数に付けている植物。
わずか一ヶ月ほど前には、電動カッターで上部と側面とがきちんと刈り込まれ、
散髪したての角刈りのようなスッキリとした印象だった。
だが今は、角はすっかり取れ、
まるで無精ひげのように新芽が30センチぐらい思い思いの方向に伸び出し、
これまた、歩道を狭めているのである。
雨のなか、桜の葉っぱ、植え込みの小枝を避けながら自転車を走らせるのは、
煩雑ではあるが、いつもとは違う趣もあっておもしろい。
桜の緑が繁茂しすぎて、傘を差しながら自転車で通り抜けるのは
多少無理なような場所もある。
圧倒的な命の営みによって、緑が通路をふさいでいるのだ。
息吹きあふれる生命力に刺激されたのか、
何だかわたしにも少年時代に返ったようなふしぎな力が湧いてきた。
あのアーチをくぐり抜ければ、幾つかは若返るはずだ。
わたしは、傘をしっかりと握り直し、自転車のスピードをわざと上げた。
若返りの緑のアーチに突入したつもりである。
ところが、桜の葉っぱにわたしの傘が激しくぶつかり、
葉の表面にたっぷりと保持されていた、昨夜からの雨が、一斉にわたしを襲った。
まさにスコールである。
折り畳み式のちいさな傘では防ぐことができず、
服やズボンは濡れるし、襟元に飛び込んだ水滴が、背中を走るわで、
若返りどころか、これが本当の年寄りの冷や水というところであろう。
みじめな結果に終わったが、
自分のしたことがおかしくて、思わず声を出して笑ってしまった。
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sceneryの風景
連日テレビや新聞で相撲界の賭博問題が取り上げられるたびにいやな気分になる。
日本のマスコミは、いつからこのような集団ヒステリックのような状況に陥ったのだろうか。
確かに、暴力団とつながっている野球賭博というのは、
一度はニュースになって当然だしうやむやにしていい問題ではない。
でも、今回の相撲界へのバッシングはあきらかにやりすぎである。
弱い者へのイジメと心理的にはどこかでつながっている。
NHKが相撲放映を中止するという決定をしたのにはガッカざせらせた。
多くの視聴者から批判をもらったというのであるが、
多くの視聴者というのは多分マスコミ報道に踊らされた視聴者である。
わたしのように苦々しくは思っていても、何も発言しない多くの国民の声はどうなのでしょう。
横綱の白鵬も仲間内で花札賭博をしたということで、
大きな体をできるだけ小さくして、あやまらされていたが、
一度も賭博をしたことがないという日本人が何人いるのだろうか?
白鵬の仲間内での花札賭博などは、
仕事帰りのサラリーマンが麻雀をする、パチンコを楽しむのと少しも変わりがない娯楽だと思う。
今回の事件で、一番の巨悪は、間違いなく野球賭博を主催している胴元である。
それにかかわった力士は、法律違反を犯したのは間違いがないが、
見方を変えると賭博の被害者でもある。
マスコミからは暴力団が主催しているであろう野球賭博の胴元を追及する声は、
ほとんど聞かれない。ただただ、相撲協会と力士とを
ヒステリックにバッシングするだけである。
今回のことを切っ掛けにして、
警察は野球賭博の頂点をせん滅するぐらいの覚悟を持って欲しい。
そうなって初めて、今回の騒ぎが意味のあるものになる。
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