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            日常の風景   NO.0242
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西中の同窓会

同窓会の司会を担当することになったわたしが、
「それではお願いします」といった途端、
会場には「あー」とか「おー」という声にならないどよめきが走った。

会場の正面に設置されている大きなスクリーンに、わたしたちの仲間で、
ひと足早く天国に旅立った8人の写真が写されたのである。
中学時代の集合写真から、8人一人ひとりの顔が抜き出されていた。

わたしたちの年代で、同窓生189名中の8名というのが、
多いのか少ないのかは、わたしにはよくわからない。

反抗期をにじませた、ちょっとやんちゃな顔。
思春期のはにかみと気取りとを垣間見せている澄まし顔。

会場には、今回初めて同窓会に参加したという仲間もいた。
30年ぶりだという人もいる。
物故者になった同窓生の情報をはじめて知ったという人も多かったに違いない。

30秒間の黙とうを、みんなにお願いすると、
ざわついていた会場は、一転して荘重な沈黙におおわれた。
意味のある沈黙の時間というのは、饒舌なとき以上に多くのことを語りかけてくれる。

沈黙が同窓生一人ひとりの胸に語りかけたことばはきっと様々であったことだろう。
若いころはほぼ観念でしかなかった「死」というものを、
具体的で身近な存在として意識させられた人が多かったのではないだろうか?

この会場の同窓生にも、癌の手術を3回も受けた人。
今現在、癌の治療を続けている人、人工肛門をつけていると打ち明けてくれた人。
成人病に悩んでいる人。
もう、さまざまなトラブルを抱えて生きるということが当たり前の年代なのである。

2年後には、中学卒業以来50年になる。
その50周年の記念同窓会をすることがもう具体的に計画されようとしている。
そのような話をしたら、誰かが、
「もう2年、なにがなんでも生き抜くぞ」なんて、大きな声で冗談をいったが、
会場の反応はかなり微妙で、半分笑いながら、途中で真顔になる人が多かった。

すこし、湿っぽい雰囲気でスタートした同窓会だったが、
お酒が入り、想い出をいろいろと語っているうちに、
気分までが、当時のように若々しく生き生きとしてくるのが同窓会の最大の魅力である。

同窓会は参加者全員が観客であり、参加者全員がプレイヤーだと思う。
中学時代にタイムスリップできる舞台装置には、ひとりでも多くの参加者が必要なのだ。

2次会で、みんなと肩を組み合い、青春時代の歌を全員で歌いながら、
再会を約束して別れた楽しい夜でした。



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sceneryの風景

西中と呼ばれる、中学校は全国では多分100校ではきかないだろうと思う。
わたしたちの中学校は、正式には彦根市立西中学校である。
わたしたちは同窓生のホームページを持っている。割合結束力のある同窓生なのである。

わたしたちのホームページを一度ご覧ください。
http://www.kyouno.com/hikonenishichu1961/

このホームページは同窓生のK君が作製してくれた。
その後も、K君の献身的な努力のおかげで、維持、管理がされている。

パソコンの技術に精通しているK君は、今回のプロジェクタでの
パーフォーマンス一切を引き受けてくれた。
わざわざ、電車に乗って母校にまで出向き、校歌をもらってきてくれたり、
当時にはやっていた歌や映画、政治の話題など、15分にまとめられた映像は、
それは見事なものでした。

このような裏方がひとりいるだけで同窓会は信じられないほど盛り上がりを見せます。

もうひとり、葉書を出したり、集計したり、
めんどくさい事務作業を一切引き受けてくれたY君。
欠席者のコメント、近況を当時の写真付きで、会場に設置としてくれたのには、
感心しました。ほんとうにご苦労様でした。

同窓生のホームページの掲示板にレギュラーとして書き込んでいたのが、
わたしと、K君、Y君の3人だけでした。

掲示板を通じて、K君とY君は、確か一緒に香港に旅行もしましたよね。
オフ会のような形で3人だけで飲んだこともあります。

今回の同窓会の一連の流れなどを振り返ると、
知らず知らずのうちに、ネットが果たしている役割というものが、
非常に大きいと実感しました。



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