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            日常の風景   NO.0257
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ノートパソコン

出発地である彦根から電車に乗るときは一番前の車両、
帰りの大阪からは、一番後ろの車両に乗ることにしている。
基本的には比較的空いているというのが主な理由であるが、
この年齢に到達すると、トイレ関係というのも常に頭に入っている。

彦根は始発駅に比較的近いので、座る席の心配はしなくてもいいが、
シート席が丸ごと開いていることはまずない。
誰かがもうすでに座っているので、どんな感じの人の横に座るかというのに
今まで以上に神経を使うようになった。

というのは、大阪までの道中、最近手に入れたわたしのあたらしいおもちゃ、
ノートパソコンを開けるつもりがあるからだ。

オークションで落札したノートパソコンはソニーのバイオ。
サイズは、A4よりは小さくて、B5よりは大きい。
重さはバッテリーを含めて1キログラム強。
鞄に入れて持ち歩くのにはぴったしである。

80Gあるハードディスクのなかに、かなりの映像が入っている。
前の号で書いた「趣味の録画」のなかではわざと触れなかったのだが、
わたしの録画の本命は、英語、将棋、囲碁なのである。

英会話の番組は、時間をかけて特に丁寧に編集してきた。
20分間の番組を自分だけの教材として、エッセンスだけを7〜8分間にまとめるのである。
だが、これだけ時間をかけて編集しても、それを再生して見る機会がなかった。

電車でわたしの隣席の人は、読書に熱中している人がベターである。
ときどき体が接触するほどに近接しているが、
お互いがそれぞれの世界に熱中しているというシチュエーションが最高の組み合わせになる。
居眠りしている人も悪くはないが、安定性に欠ける。

物置から引っ張り出してきた、骨伝導のヘッドホンをノートパソコンに差し込む。
普通のイヤホーンで長時間鼓膜を震わせるのは苦手である。耳が痛くなる。
だから、頭蓋骨に直接音の振動を伝える特殊なヘッドホンを昔愛用していた。

わたし用に編集した英会話の映像は、自分でいうのもなんだが、
実によくできている。昔の努力の跡が偲ばれる。

何しろ自分だけの教材であるから、イントロもエンディングも雑談も一切なし、
易しすぎる個所や、逆にネイティブの難しすぎる表現や発音もすべてカット。
ビデオレコーダからしていた大まかな編集とは違い、
パソコンでする編集は、録画した画像をひとコマ単位で編集できるから完璧なのである。

こうして、彦根から大阪までの車中の時間はまたたく間に過ぎてゆく。
学生時代から、典型的なナガラ族だったので、
適度な騒音に満ちている狭い電車の座席は、集中力が最大に発揮できる場所かもしれない。

大阪に着いてからも、ノートパソコンを手にしてから行動パターンが変化した。
一杯のコーヒーが230円という行きつけの地下のコーヒーショップで、
再びノートパソコンに向かう。

次の映像は将棋である。
将棋は本から得た情報、NHKの将棋番組、わたしの実戦譜など、
それぞれの棋譜が、視覚的にみられるようなソフトに整理されている。
土曜日の午前中はノートパソコンとともに時間がすぎてゆく。

そして、午後からいざ本番。
なじみの英会話喫茶で外国人を交えての雑談に興じたり、
関西将棋会館の道場に出向いての他流試合にいそしんだりしているのであるが、
すばらしい準備をしている割には、英語も将棋も一向に上達しないというのは、
一体何なんでしょうね。



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sceneryの風景

アップル社の時価総額がマイクロソフト社をを超えたらしいですね。
グローバル企業の戦略や戦術では、アメリカはやはりすごい国ですね。

わたしの世代のOSは、長い間MS−DOSだった。
そのOSがWindows3.1→Windows95→Windows97..XP→VISA→Windows7へと
めまぐるしく変遷してゆく。
すべてマイクロソフト社の製品である。
マイクロソフトが世界を席巻したかに見えた。

わたしなどもWindows一辺倒で、アップル社などはそのうち駆逐されてしまうと、
単純にそう信じていた。

ところが、わたしが営業のバックヤードをしていたwinsows全盛の当時でも
お客さんの家を訪問すると、ごく稀にアップル社の
MAC-OSを使用している、根強いサポーターがいたのを印象的に覚えている。

一台のノートパソコンがわたしの行動のパターンを変えたように、
日本でも発売されて評判をよんでいるアップル社のiPadも、
MS−DOSからWinsowsに変化したぐらいのインパクトがありそうな予感がしますね。

任天堂のWiiというゲーム機が発売されて、実際にためしたとき、
コントローラの動きを画面に取り込んだ、今までにない画期的なゲームだと思った。
たとえば卓球などをしていると、ボールを打つ感触がコントローラにも伝わるのである。

だが、ソフトがなかなか出てこない。

その点、iPadの戦略はすごい。基本OSを全世界に無料で公開したのである。
いわば、知識のある人は誰でもiPad用のゲームが作れ、
それをアップル社が認めれば、個人の開発であっても、販売してもらえる。

日本での発売時にはすでに5万本のソフトが揃っていたというのですから、
日本の企業は太刀打ちできそうもありません。

家を新築すれば、すぐに塀で囲ってしまう、島国で単一民族に近い日本と、
芝生のオープンスペースを好む、多民族国家の文化の違いでしょうね。

グローバルという土俵ではとてもまともな勝負はできません。
何か日本らしい別の道を見つけなければなりませんね。



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