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            日常の風景   NO.0281
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夏の陽射し

梅雨が明けて以来、夏の陽射しは日々目に見えて強くなっている。
わたしは短時間であれば、利きすぎた冷房の下で凍えているより、
カッと照りつける太陽の下で、暑さを直接受け取る方が好きである。

本格的な夏の風景でいちばん目立つのが、ひかりと影の陰影の濃さである。
舗装道路から反射するひかりがまぶしすぎて、
このひかりと熱とで地球上の全生物のいのちが支えられているのだなと
ある種の神々しさえ感じられる。

まぶしく反射するひかりに寄り添うようにして、
建物、樹、電柱、電線などの影が見事なコントラストをつくっている。

特に細い電線の影が、運動会のグランドに引かれたラインのように伸び、
そのラインの上に、小鳥の影がちょこんととまり、
ちいさな首がアチ、コチと動くのを見るとき、わたしは暑さそのものを忘れている。

路地裏の草花は黄色が目立つ。
黄色というのは夏の強い陽射しによく似合う色である。
黄色というのは植物学的に太陽エネルギーと何か関係があるのだろうか?
それとも庭先に植える花を購入するときの心理学の領域でしょうか?

とりとめのないことを考えながら、わたしは子供時代の夏を想い出していた。
家から琵琶湖まで割合に近い距離だったので、
真っ黒に日焼けしたちいさな体に、海水パンツだけを身につけ、
後はタオルを首にかけて、近所の友人と連日、湖に行き泳いだ。

行く途中、道端の畑に成っている真っ赤なトマトをひとつ失敬して、
太陽の熱で、熱く感じられるぐらいのトマトをかじりながら、
何もかも忘れて、ただひたすら遊んでいたなつかしい日々。

夏の陽射しを直接浴びると、エネルギッシュだった当時の想い出も、
かならず脳裏によみがえってくる。



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sceneryの風景

今年は入道雲の形も例年に比べていいですね。
もくもく、にょきにょきとボリュームがあるし、造形的に感じられる。

でもセミの鳴き声がかなり少ないように思います。
ここ、滋賀県の彦根だけの現象でしょうか?



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