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日常の風景 NO.0295
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大阪駅その後
玄関の下駄箱の上に封筒が置かれていた。
最近は封書を出す機会はほとんどない。
封書の宛先はＪＲ大阪駅長様となっていた。
めざとくそれを見つけた娘が、
「お父さん、大阪駅で何か忘れ物でもしたん？」
と聞いた。
前号で大阪駅にあたらしく設置されたトイレの話を書いた。
「右が男性トイレ、左が女性トイレでございます」
と、２４時間ぶっ通しで案内しているトーキーに対してのクレームだった。
夕食のときに、大阪駅長に封書を出すに至った経過を説明した。
「それは、目が不自由な人のためにやろ？」
と、相棒と娘が同時に発言した。
「えっ、あっそうか？盲人のためのトーキーだったのか」
と、わたしの声は途端に恥ずかしさで消え入るようになっていた。
トイレのトーキー案内を肯定した訳ではないが、
わたしにはそのような視点が完全に欠落していたので、
クレームをつけるにしても、当然内容が変わってくる。
折角準備した手紙だったが出すのはとりあえず中止した。
ポストに放り込む前でほんとうに助かったと心から思った。
＞一体だれが最新のトイレに、こんなくだらない騒音装置を提案をしたのだろうか。
＞普通のセンスに照らして、だれも諌めるものはなかったのだろうか？
と前号で書いたが、普通のセンスがなかったのはわたしの方だった。
でも、あのトイレは今でも明確に反対である。
盲人のために一日中がなりたてているトイレは、福祉の進歩といえるのだろうか？
ヨーロッパでもアメリカでもカナダでもこのようなトイレは見たことがない。
先週もう一度このトイレを観察してみた。
通路には盲人のためのガイド用の黄色いブロックは埋め込まれているし、
トイレの入り口には点字表示もあった。
少なくとも大阪駅は日本の西の玄関である。
関西を訪れた外国人がこのトイレを見たときに、
日本の福祉は進んでいると感心してくれるだろうか？
多分、やかましい不思議な国だと軽蔑されそうな気がするのだが。
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ｓｃｅｎｅｒｙの風景
日本の福祉は大体ハードに頼りすぎである。
ひょっとすればバリアフリーなどハード的な環境は
日本が一番進んでるのような気がする。
でも、ハンディキャップのある人、
盲人や車いすの人にとって生活しやすい国とはとても思えない。
福祉先進国の国はハードよりも、ソフト。
自然体でハンディのある人を助け合う文化や社会システムが充実している。
大阪駅ももっと社員の対応や、ボランティアの手を借りて、
設備や装置に頼るのではなく、ソフト面をより充実してほしいと強く思う。
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