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            日常の風景   NO.0307
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キムチ試食

冷蔵庫のドアに小型のホワイトボードが2枚マグネットで張り付いている。
上のボードがわたし専用。下のボードは家内のものである。

若いころからそれほど良くはなかったが、
記憶力が年々衰え、老人力ばかりがついてくる。
細々したことをここに書いておかないとすぐに忘れるからである。

保険の支払いとか、歯医者の予約日とかも書いてあるが、
そのほとんどが次に買い物に行くときのリストである。
しょうが(漢字が書けない)、バター、牛乳、にんにく、豚肉などと
走り書きでメモしてある。

車で走れば3分ぐらいの場所に大型のスーパーマーケットがあるので、
買い置きはあまりしない。
その代りわたしの家事当番である火曜日と金曜日には必ず買い物にでかける。

家事のすべてを本気でやる気になれば、
たぶん、男の方が仕事をルーチンに整理しやすく能率的だと思う。
自分のペースで家事をこなすことができる日は、
手順も時間もほぼ同じことの繰り返しで淡々とした時間が流れてゆく。

たとえばスーパーで同級生に出会ったときでも、
「おう」「どうしてる」「元気?」と二言三言でさっと別れるが、
観察していると主婦はそうではない。
立ち話を始めたら、簡単には終わりそうにない。

そんなわたしにも昨日はすこしイレギュラーな出来事があった。
いつものように買い物を終えて帰ろうとしたら、
スーパーの出口近くでキムチの試食、即売をやっていた。

昔ながらの濃紺で重厚な前垂れを着け、
いなせに鉢巻きをきりっと巻きつけた、
アラ・フォーぐらいの販売員が爪楊枝に突き刺した白菜キムチを、
タイミングよくわたしの目の前に突き出したのである。

思わず爪楊枝を手に取り食べてみた。
確かにうまい。まろやかな甘みと醗酵食品独特の旨味コクがあり、
唐辛子のぴりっとしたカラミが絶妙のハーモニーを醸している。

もぐもぐと味わっていると彼は間髪をいれずに、
「これが大根キムチ」「ザーサイキムチ」「これイカキムチ」
「アサリキムチなんていうのも評判がよくてね」
とかなんとか、販売員の口上と勧め方が上手で、
あっという間に5種類ぐらいを食べさせられていた。

かなり優秀な販売員である。もう何か買わなければ格好がつかない。
何か小さなものを買う覚悟を決めたので、
その後も次々と試食をすすめられるままに口にした。

そこでハッと思いだしたのである。
わたしは近所のスーパーへはスーパーが発行している
クレジットカードを利用していて現金は持って行かない。

「何かもらうつもりなんやけど、クレジットカードしかないで、いいの?」
と言ったときの販売員の、残念そうな困惑したような表情が忘れられない。

すぐに気を取り直して
「現金しかあきまへんのや、明日もやってますさかい、よろしゅうたのんます」
と気を取り直したのはさすがだったが、悪いことをした。

「うんわかった明日は必ずもらうさかい」
と確約したが、明日は残念ながらわたしの家事当番ではない。
従って買い物にも行かない。
販売員さんごめんなさい。



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sceneryの風景

最近文学仲間のBBSで女性のコミュニケーション能力について話し合ったことがある。
優れた詩人でわたしの大先輩の意見が非常に興味深いものだったので、
BBSからの抜粋を転載させてもらいます。

もしわたしたちのBBSに興味があるようでしたら、
一度のぞいて見てください。
http://8236.teacup.com/scenery2/bbs

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退職後女房と一緒にいる時間が長くなり、
自然に対話をする機会が増えたが、
今更のように男と女の発想がまるで違うことを知り、
何十年連れ添った女房でも対話の難しさを確認した。

女房の話題は常に身の回りのことであり、
朝起きてからどうしてどうなった等の細かいことを一から始めなくては止まらない。

男にとってはどうでもよいと思われる日常の話題なので、
つい「そうかそうか」と適当に生返事をして、
新聞などへ神経が集中することがよくある。

すると「あなたは私の話の途中で新聞に夢中になってしまって、
ちっと私の話を聞く気がない」と詰問さえされることがある。

男は一つのことに集中してしまうと他のことが見えなくなる。
女性は同時に炊事をし、子供を見守り、テレビも見る。
同時に3つ4つの事に注意を払うことができるらしい。

女性は一日平均6000語から8000語の単語を楽々としゃべり、
さらに言葉にはならないが、顔の表情や頭の動きといったボディランゲージを
1万近く出して合計で2万回もコミュニュケーションを発しているそうである。

それに比較して男性の言葉は2000から4000。
ボディランゲージはわずか3000回足らずで、
女性の3分の1にも満たない。

男は一点集中型で、遠くを見るとか、獲物に集中することには優れているが、
周辺へのコミュニケーションは下手である。

日常生活で男は置き忘れたものを探すのは下手だが女性は手品のように探し出す。
身近の空間認識力が上なのである。
女性は話すことによって認識をしているところがあり、
男は紙に書いて分析するところがある。

この違いを意識して、
できるだけ女房の話はよく聞くことが夫婦の秘訣なのかもしれない。
ぼんやりと休息をしている時は男の脳は1割程度しか機能していないが、
女性の脳は7割程度は常に機能していてて周りの環境を読み取っているそうだ。


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発行者 scenery
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