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            日常の風景   NO.0337
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BSが映らない

久しぶりに昨夜はなぜか眼が冴えて眠れなかった。
原因ははっきりしていた。
我が家でよく利用しているBS放送が突然映らなくなったせいである。

いや突然と言うのでもない。この一カ月ほど時々トラブルがあり、
しばらく待っていると自然に回復していた。

BS放送は電波の波長が極めて短い。
だから集中豪雨などが原因で放送が途切れることはたまにある。
今回もそんな事だろうと高をくくっていたのだが、突然全く電波が届かなくなった。

原因がわからない上、なじみの電気店もない。
とうの昔に町の電気屋さんは大規模な量販店に追われてしまって久しい。
わたしが購入した電気製品もほとんどが量販店かネット販売である。
故障が起きればある程度は自分の力で対応しなくてはどうしようもない。

オーディオが好きで、映像を見るのも録画するのも大好きなわたしは、
その関係機器につないでいるケーブル類が、
自分でもぞっとするほどややこしくなってしまっていた。

まず、ケーブルテレビから配信されるケーブルに加えて、
FM放送を受信するアンテナからのケーブル。
それにBSのパラボラアンテナからのケーブル。

二人だけの家族なのにテレビは3台あるし、HDのレコーダーも3台ある。
愛用しているパソコンにもテレビの機能は付属しているし、録画もできる。
とにかく、すべての機器はすべての電波を要求しているので、
居間にあるプラズマテレビの裏側でひしめき合っているケーブルなどは
自分でももう見たくないのである。

寝不足の重い頭をかかえて、しかたなく原因の切り分け作業に取り掛かる。
昔は得意だった仕事も、これだけ長い間現場から遠ざかっていると、
億劫になることこの上もない。

まず、5mぐらいの同軸ケーブルの両端にプラグをつける作業から始めた。
埃まみれになっているテスターも取り出してきた。
不思議なことに導通チェックをしてみるとテスターのメーターは動く。
乾電池は機器によっては案外長持ちするみたい。

テスト用に使う同軸ケーブルが仕上がると、
蜘蛛の巣の張った脚立を取りだしてきて、パラボラアンテナの前に立てる。
長い同軸ケーブルの先端をアンテナに直接繋ぎ、もう一方をBSチューナに繋ぐ。
テレビのスイッチを入れると見事にBS放送は写っている。
これで原因はパラボラアンテナではないということがはっきりした。

渋々、厭々始めた作業だったが、しばらくすると熱中していた。
昔取った杵柄というか、電話が電子交換機に入れ替わる前、
機械的なクロスバー交換機の保守を長い間続けてきたので、
どちらかと言えばこのような仕事は得意だったのである。

試行錯誤の上、原因を見つけた。
三ヶ所にBSの電波を分配する、分配器が壊れていた。
室内用の分配器を屋外で使用していたので、長年の風雪に耐えられなかったのだ。

すべての後始末を終えてから、早速BS放送をテレビに映しながら、
よく冷えた缶ビールのプルリングを引っ張り、一口飲んだビール。

ジムとか散歩とかではなく実際の労働をこなした後のビール。
定年退職後こんなうまいビールを飲んだのは久しぶりのことである。
肉体はもちろん精神の隅々にまで浸み渡るようだった。



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sceneryの風景

10年ぐらい前にケーブルテレビの工事をしてもらったことがある。
そのときに我家に来た若い作業員と気が合って、
同軸ケーブルのプラグの付け方を教えてもらった。

大した技術ではないが、知らないと完成された市販のケーブルを買うしかない。
本文にも書いたが、複雑張り巡らされた同軸ケーブルの配線。
必要な長さをきちんと測り、自分でプラグを取り付けると、
安上がりなのはもちろん、それなりにケーブルの整理はし易くなる。

両端に行き先を書いたタグをつけたり工夫はしてあるのだが、
それから何事もなく何年もの年月が経過すると、
もう何がどうなっているのか自分でも訳がわからなくなっているのが実情。

屋外用の分配器を量販店に買いに行ったついでに、
ぶらぶらと店内をうろついていたら、
大画面で4KテレビのBS放送がデモンストレーションされていた。

驚くほどきれいな画質である。
長い間、新しい電化製品なんて欲しいものは何もなかったが、
4Kテレビだけは、毎日見るものだし、買えば楽しいだろうなと、
久しぶりに強いインセンティブが湧いてきた。

3Dテレビのときとは違って案外大ヒットするような予感がする。



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