*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*
            日常の風景   NO.0376
*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*

露天風呂でひらめく

去年と同じ長野県、白馬のホテルに今年も逗留することにした。
6泊7日の宿泊で交通費も含めてひとり5万円はとにかく安いと思う。
ホテルの設備も食事も不満がないというかとても満足できるレベルである。
梅雨時の客枯れを考慮しての特別な料金設定だとは思うが。

旅行中の一週間、やはり梅雨らしく一日中晴れた日は一日もなかった。
でも一日中雨の日もなかったのである。

去年は珍しさもあって毎日精力的に近辺の観光にでかけた。
でも今年はそれこそ湯治といわれるにふさわしいスタイルになった。
北アルプスの雄大な山々を眺めながら一日に何度も露天風呂に入った。

温泉で時間をかけて考えていたのは
わたしの興味が尽きない宇宙についてである。これには理由がある。
ホテルは長期滞在者を退屈させまいと、
毎夜ロビーで何らかのイベントを開催してくれた。

主な催しはスライドトークショーである。
白馬を愛してやまないトークのうまいホテルの従業員が
撮りためた四季の山々や花々のスライドをユーモアを交えて解説してくれた。

そのようなイベントのひとつに「星空観察会」という催しがあった。
もちろん梅雨の曇り空で星空は見られない。
こちらも天体のスライドと宇宙のトークショーになった。

最後に質問の時間帯があったので、
わたしが日頃から疑問に思っていた質問をひとつぶつけてみた。
「ハッブル宇宙望遠鏡が136億年前の宇宙を発見した、
とニュースで読み、その写真も見ましたが過去の宇宙が見られる場所は
ある決まった方向にだけあるのでしょうか?
それともうひとつ。100億年前の宇宙、50億年前の宇宙を見るには
どこに望遠鏡を向ければいいのでしょう?」

いじわるな質問をする気は全くなかったが、講師は明らかにとまどっていた。
このイベントは外部から講師が招へいされていたのである。
回答は要領を得ず的外れだったが、わたしもそれ以上の突っ込みは入れなかった。

だからそれ以来雄大な自然に囲まれた露天風呂でリラックスタイムになると
わたしの質問の答えをずっと考え続けていた。
望遠鏡で見える様々な星々、現在の星雲団、過去の星雲団。
みんな同じような星の瞬きに見えるのに
それぞれの時間の関係は一体どうなっているんだろう。

そして突然ひらめいたのである。
宇宙の始まりはビッグバンという一点から始まった。
それ以来現在の宇宙は膨張し続けている。
宇宙の膨張を説明する例の円錐形の図形を思い出したのである。

現在の宇宙から過去のビッグバンを見ようとすればある一点に集約される。
ということは過去の宇宙全体が見える場所は方向が確実に決まるのだ。

方向が決まれば後は望遠鏡の性能の問題になる。
136億年前の過去の宇宙が見えたのであるから、
望遠鏡の性能を落とすというか焦点を変えれば100億年前、50億年前の宇宙が
同じ方向に見えるはずである。

たったこれだけのひらめきともいえないひらめきだが、
わたしにとっては長年の疑問が氷解した瞬間だった。
寿命が尽きる前に理解できた。このことだけでも温泉に来た価値があった。



----------------------------------------------------------------------
sceneryの風景

知っている人からみれば今更何を言っているのという話だろう。
でもわたしの疑問はネットで調べてみてもよくわからなかった。

あまり興味のない人に聞く訳にも行かないし、
とにかく長い間モヤモヤとしていたのである。
宇宙の遠い過去が見えて写真にもとれるということは
宇宙における時間の連続性はどう考えればいいのだろうと。

でもビッグバンが起こった方向が確認できたということは
人類にとってとても幸運なことだったと思う。
わたしたちの銀河星雲の恒星の場所によっては、
宇宙のガスや星の密集度で全く見えないということも考えられたはずである

以上ここで書いたようなことは露天風呂でわたしが勝手に考えた推測で、
どこかで大きな間違いを犯しているのかもしれません。
鵜呑みにはしないでください。
専門家や学者ではないのでもし間違っていたらごめんなさい。



----------------------------------------------------------------------
発行者 scenery
north@zd.ztv.ne.jp
HP 日常の風景
http://www.zd.ztv.ne.jp/scenery/

----------------------------------------------------------------------
日常の風景が本になりました。ご覧ください。
http://www.geocities.jp/scenery_jp2/book/book.html

----------------------------------------------------------------------
このメールマガジンは、

『メルマ』  (マガジンID: 50779) http://www.melma.com/
『まぐまぐ』 (マガジンID: 79888)   http://www.mag2.com/

を利用して発行しています。

----------------------------------------------------------------------
メールマガジンの退会・解除は
http://www.zd.ztv.ne.jp/scenery/ からお願いします
----------------------------------------------------------------------